お姫様と王子様



昨日散々悩んで、結局は白いブラにしました。いっぱいレースが付いてて可愛いの!
…今日の放課後が、勝負なんだよねっ!
きっ…緊張するなぁ…

教室に着くと、珍しくもう沖田君が来てる。
…わー、珍しい…

「おはよ、沖田君!」

「…おぅ…」

私がちょっと緊張して声を掛けると、チラリとこっちを見た後、スッと席を立って近藤さんの方に行ってしまう…
…アレ…?何かおかしいなぁ…それに、なんか目が赤かった…具合でも悪いのかなぁ…?

その後も沖田君は、授業中以外自分の席には居なくって…
いつもなら何かしら私に話し掛けてくるのに、今日は全く話をしてくれない…それどころか、目も合わせてくれない…
何で…?授業中も、いつもなら煩いくらい、ちょっかいかけてくるのに…今日はそんな事全然なくって…真面目に授業受けてる…
どうしたんだろ…?近藤君に怒られたのかなぁ…?
すっごく気になったんで、お昼休みに近藤君を呼び出して聞いてみたら、近藤君も知らないって…

教室に戻って、沖田君が土方君達と遊んでるのをちらりと見ると、あ…笑ってる…
そう言えば今日…私の近くに居る時の沖田君は、笑った顔を見てないや…
…やっぱり…沖田君、私の事なんて好きじゃなかったんだ…アレはからかってただけだったんだ…
それなのに、私…勘違いして…舞い上がって…どうしてくれるのよ…ばかぁっ…
こんなに…こんなに好きになっちゃったのにっ…

自然とぽろぽろと涙が出てくる。
こんなのヒドイよっ…

私がハンカチを取り出そうとすると、隣から真っ白なハンカチが、ポイッ、とほおられる。

「使えよ…アノ人は、仕方ねぇよ…」

…へ…?…沖田君…?

ビックリして涙が止まったけど、折角だからハンカチを借りる。

「…え…?アノ人って…誰…?」

何言ってるの…?この人…何が…?

「誰って…」

沖田君の言葉の途中で、坂本先生が入ってきて授業が始まる。
気になるけど…坂本先生は意外と油断ならないから授業に集中する。

うん、この授業が終わったら放課後だし…
作戦通り、告白しよう。
振られても…笑われても…きっとスッキリするから…

授業が終わってHRも終わって、すぐに席を立とうとする沖田君を呼び止める。

「おっ…沖田君っ…!」

「…何…?」

「あっ…あのっ…ハンカチありがとう…洗って返すね?」

「…いらねぇ。やる。」

えっ…?

「あのっ…あのね?私、沖田君にお話があって…」

「俺ァ今日部活でさァ。」

「んと…部活が終わってからでも良いの…」

「遅くなる。」

…何で…?さっきは優しかったのに…
ぐっと詰まって下を向いてしまう…
ダメだ…挫けそう…でも…でもっ…

「…遅くなっても…どうしても…」

「判った。部活の休憩時間が有るから…4時に教室で良いかィ?」

「…うん…待ってる…」

沖田君がさっさと行ってしまうと、神楽ちゃんとさっちゃんが私に近付いてくる。

「何!?あの態度!!」

「ドSのクセにナマイキネ!」

「…ふぇ…神楽ちゃぁん…さっちゃぁん…やっぱりからかわれてたんだよぅ…」

私が神楽ちゃんに抱きつくと、さっちゃんがぽんぽんと頭を撫でてくれる。

「確かにおかしいわね、アノ態度。それに…何か近藤君を睨みつけてたわよ?」

「近藤君を…?」

あんなに慕ってるのに…何で…?

「ドSにしちゃ珍しいネ。ゴリだけにはゼッタイフクジューなのに…」

4時までには暫く時間が有るんで、さっちゃんに連れられて剣道場が良く見える、っていう廊下に行ってみる。
ソコには女子がいっぱい居て…剣道部って、人気有るんだ…
そこで練習を見ていると、近藤君と沖田君が立ち合いをしていて…鬼気迫る打ち合いの末、沖田君が近藤君を下した。
怪我…してないかな…?大丈夫かな…?

剣道部が休憩時間になったらしく、皆が解散したんで、私達も教室に帰る。

「じゃぁ、パチ恵さんファイト!」

さっちゃんが制服のさんかくを取っていく。
この空気でアノ作戦は…逆効果なんじゃ…?

「パチ恵、ガンバルネ!」

神楽ちゃんがぱすぱすと私の頭を撫でて、三つ編みを解いていく。

こんな事しても意味有るのかな…?
でも…私の気持ちは本物だから…せめて伝えたい…笑われても…大好きだから…