そーして、僕らは、家族になった。

ACT10 最強守護神来る


お兄ちゃんやお父さんや、皆に邪魔されつつも沖田君とのお付き合いは順調で。
ゴールデンウィークに、初めてのでっ…でーとをする約束をしてしまいました!
沖田君、剣道部で忙しいのに…なんとか時間を作ってくれたのが嬉しいよ!!

又、邪魔されると悲しいから…お兄ちゃん達にはナイショだよ?



今日も夕飯の買い物をして、皆の家へ帰る。
うん、皆の家。
お父さんも、お兄ちゃん達も、私も。
初めのうちはなんだかちょっとギクシャクしていたけど、今はもう色々言い合えていると思う。
きっと、初めの頃ならお兄ちゃん達もお父さんも、沖田君の事そんなに反対しなかったよね…
無関心だったかもしれない。
そう思ったら…今のこの状況は、きっと嬉しい事なんだと思う。

…ちょっと鬱陶しいけど…



鍵を開けて家に入ろうと、鍵穴に鍵を入れて回すとなんだか軽い。

…あれ…?

お父さん…今日早いのかな…?

お兄ちゃん達なら、ちゃんと鍵閉めてあるよね…?

あれ…?

それとも私…鍵閉め忘れた…?

それとも…


泥棒さん…?


そう考えると、心臓がドキドキと脈打ち始める。
どっ…どうしよう…
とりあえず、そーっとドアを開けて中を覗いてみると、見慣れないハイヒール…

…ハイヒール…?

泥棒さんなら…ハイヒールなんか履かないよね…?

なら…誰だろう…

お客さんなのかな…?

ちょっと安心して、普通に家に入って居間まで行くと、そこにはソファに足を組んで座るものっすごく綺麗なお姉さん。
長い足を惜しげもなく見せるミニスカートがよく似合ってる。
たっぷりのブラウスを押し上げる綺麗な胸。
薄化粧なのに、ハッキリした顔立ち。
…どこかで見たような女性だけど…誰だろう…?

…まさか…お父さんの新しい彼女…?
でも、お父さん今迄家には女の人連れてこなかったのに…
けっこん…するのかな…この女性と…

ちょっと泣きそうになったけど、黙っている訳にはいかないよね。
誰だろうと、ちゃんと挨拶はしないと…

「あの…こんにちわ、貴女は誰…」

思い切って私が声を掛けると、くるりと振り返った女性が凄く素敵に笑う。
凄い…キラキラして見えるよぅ…

私がぽーっとその女性に見惚れていると、立ち上がった女性が溢れんばかりに微笑む。

「アナタが八恵ちゃん?」

私の事、知って…?
やっぱりお父さんの恋人…なのかな…

「はい…私…近藤八恵です…」

「いやぁん!可愛いっ!!想像以上に可愛いっ!!!流石妙ちゃんの娘っ!!」

そのまま私に突進してきたその女性が、ぎゅううううっと私を抱きしめる。

えぇぇぇぇぇっ!?

なっ…何…?柔らか…くて…良い匂い…

って言うか、今『妙ちゃん』って言ったよね、この女性…お母さんの事知ってるの…?

でも…今は頭回んないよぅ…凄く…気持ちいい…



私が見知らぬ女性に抱きしめられたままぽーっとしていると、バタバタと廊下が騒がしくなる。

「「パチ恵!?何が有った………音女さん…?」」

あ…鍵閉め忘れてた…
私を心配してくれたのか、お兄ちゃん達が凄い勢いで居間に飛び込んできて、私を抱きしめる女性を見て顔色を変える。
お兄ちゃん達の知ってる女性なのかな…?

「…あの…」

ごそごそと私が動き出すと、オトメさん、と呼ばれた女性がやっと離してくれる。

「ごめんごめん、あんまり可愛くって。やっぱり女の子は良いわね!あの二人なんか、初対面の頃はもうちょっと可愛かったけど…」

はぁっ、と嫌そうに溜息を吐かれるけど…
結局誰なんだろう…?
困ってお兄ちゃん達の方を向くと、晋助お兄ちゃんが、はぁっ、と溜息を吐く。

「親父の…姉さんだ…」

えっ!?お父さんのお姉さん…って事は…

「私達の、叔母さん…?」

「あー…その呼び方は止めてね?音女さん、って呼んでほしいな。」

「あっ!おっ…音女さんっ!初めまして、私…」

慌ててぺこりと頭を下げると、又ぎゅうううと抱きしめられる。

「うん、自己紹介は聞いたから大丈夫。もう!可愛いなぁ!!」

抱きしめられたまま、頭まで撫でられるとふにゃふにゃになっちゃうよ…
私もきゅうと音女さんに抱きつくと、お兄ちゃん達がゴホゴホと咳払いをする。

「で?音女さん、今日はどうしたんですか?」

「何か…用事が有るから…来たんだろ…?」

グイッと両手を2人に引かれて音女さんから離される。
あ…お兄ちゃん達も音女さんとぎゅうってしたかったのかな?
見た目と違って2人とも甘えんぼだもんね!