そーして、僕らは、家族になった。

ACT 7 兄の策略


十四郎が、動きやがった…
家の中で…しかも廊下でなんて…バレてねぇとでも思ってんのか…?
でもまぁ…アレはパチ恵、判ってないぜ…?…ククク…
アイツがアホみたいに浮かれてる間に…俺はもう一歩先に進んでやるぜ…ククククク…

十四郎にバレて暫く行けなかったが…久し振りにパチ恵の部屋に行く。
テストも近い事だし…勉強を教えてやる、とでも言えば…十四郎も文句は言えないだろ…?

コン…コン…

ドアをノックしてすぐにドアを開けてやる…
イキナリなら…パチ恵も無防備だろ…
何をしているかと思ったら、良いタイミングで机に向かって勉強していやがった…

チッ…空気読んで着替えでもしてろよ…

まぁ良い…

「パチ恵…夜食要るか…?」

ゆっくりと…絡め取ってやろうと…いつもの通りの優しい兄貴を…気取ってやる…

「あっ、晋助お兄ちゃん!!英語分かんないよーっ!」

「おぉ…」

涙目のパチ恵が可愛くて、手元を覗き込むついでにピタリとくっついて覆いかぶさる…

「…どこだ…?」

「あのね、こことここが分かんないの…」

スッと…上から手を重ねて、すべすべのパチ恵の手をなぞりながら、言われた箇所を出来るだけ簡単に教えてやる。
ふむふむと頷いていたパチ恵が、嬉しそうに笑って…
俺を見上げる…

「そうか!有難う晋助お兄ちゃん!!」

すぐに下を向いて、一生懸命問題を解く姿も可愛い…
俯いたうなじが白くて…悪戯したくなっちまう…

「あ!あとね、ココと…」

…危ねぇ…
思わず手ぇ出すところだった…
まだだ…もう少し警戒心を無くさなきゃあな…

暫く次々にされる質問に付き合ってやると、パチ恵が大きく溜息を吐く。

「良かったー…流石晋助お兄ちゃんっ!先生より分かりやすいかも。」

えへへ、と笑いながら可愛く舌を出す…
ヤベェなぁ…
誰にでもこんな風に可愛く笑ってると…危ねぇだろ…

一応ぽふぽふと頭を撫でてやると、パチ恵の笑顔が極上のモノに…変わる…
この笑顔は…俺だけに見せる顔なのか…?

「スッキリしたし、明日もテストだからもう寝るね?ありがとうお兄ちゃん!」

「あぁ…おやすみ…」

よし…この時を待ってたんだよ…
今日もパチ恵からキスをしてくるだろうから…
ワンランク上のキスをしてやるよ…

…ククククククククク………

俺がちょっと屈んで待っていると、何故か頬に柔らかい感覚がする…

…あ…?

「…パチ恵…なんで頬っぺた…?」

首を傾げてじっと瞳を見つめると、パチ恵がぷうっと膨れる…

「兄妹じゃ、唇にはキスしない、って聞いたもん!」

ちょっと頬を染めてそう言う顔は可愛い。
…でもな…
誰がそんなくだらねぇ事、教えやがった…

「誰がそんな事言った…?」

「銀八先生言ってたもん。普通の家族はそんな事しないって!お友達のお家も皆して無いって言ってたよ?」

…銀八…余計な事しやがって…
アイツもパチ恵狙ってやがったっけ…なんとかしねぇとな…ククク…

「他所は他所、家は家だろ…?俺は母さんと毎日してた。」

そんな訳ねぇけど。
俺がそう言うと、パチ恵がうっ…と怯む。

「でも…私はお母さんとキスなんかしてなかったもん…」

「親父とは…してたんだろ?」

「してたけどっ…!…ほっぺだもん…」

目を潤ませて上目遣いで見上げられると…堪らなくなる…

「…イヤ…だったのか…?」

俺も悲しい顔を作ってパチ恵を覗き込むと、パチ恵はふるふると首を振る。

「恥ずかしいけど…嫌じゃ…無いよ…?」

真っ赤な顔で俺を見上げてくるから…
そっと頬に触れて…顔を近付ける…
パチ恵がギュッと目を瞑るのを合図に、キスをする。

唇が触れて…すぐに離れようとするパチ恵を抱き締めて…
ちゅっ…ちゅっ…と短くキスをして…
ペロリと唇を舐めると、びくりと震えてぎゅっと唇を閉じる…

チッ…

抱き締めていた手を柔らかい身体に這わせて背中を撫でて…
小さく啼いたスキに隙間から舌を滑り込ませようと滑らせると、又ギュッと閉じられる…
なら…
背中に回していた手を滑らせて…柔らけぇ胸をきゅうっと掴む…

「やっ!!」

驚いたパチ恵が凄い勢いで俺の腕から離れようとするけど離してなんかやらねぇ…
腕に力を入れてグッと抱き締めなおす。
ばたばたと暴れるけど…かまわねぇ…
頭をくっつけて、耳元で囁いてやる…

「好きだ…八恵…」