とりっくおあとりーと!!



今日は外国のお祭りで、はろいーんと言う日なんだそうです。
何処からか、このお祭りの話を聞いてきた神楽ちゃんが(多分テレビでやってたんだよね…)、はりきって僕に

「新八!今日はお菓子ゴーダツの日アル!オマエも一緒に連れてってやるヨ!」

と言ってくる…神楽ちゃん…ソレ多分間違ってるよ…
でも、夜に仮装して皆の所に遊びに行くなんて面白そう!なんだか僕もワクワクしてきたよ!!

仮装の衣装は、姉上に相談したら何処からか調達してきてくれた。
なので、僕と神楽ちゃんは僕の家に行って仮装してからお菓子の強奪に出かけることにした。
姉上の調達してきてくれた仮装衣装は、神楽ちゃんには真っ黒のミニスカートのワンピースに三角帽子の魔女の格好。ピンクの髪に黒い衣装が映えて、とっても可愛い!
僕も危うくお揃いの衣装を着せられるトコだったのをなんとか頑張って、黒スーツにマント、長い付け耳を付けたばんぱいあの仮装に落ち着いた。

「うふふ、神楽ちゃんも新ちゃんもとっても可愛いわよ?」

姉上が、にこにこ笑ってぱしゃぱしゃと写真を撮ってくれる。良い記念になるね!
可愛い、って褒められて、神楽ちゃんが頬を染めてる。
僕はそんな神楽ちゃんの肩をぽんぽん、と叩いて、2人で目を合わせてにっ、と笑う。

「「とりっくおあとりーと!」」

姉上に向かって2人で叫ぶと、姉上がにっこり笑ってクッキーをくれた。

「本当は手作りにしようと思ったんだけど…ごめんなさいね?時間が無くって…」

「そっ…そんな!良いですよ!既製品でも僕、すっごく嬉しいですから!!」

僕が言って、ね?神楽ちゃん?って振ると、神楽ちゃんもがくがくと首を振る。
…命拾いしたよ、僕ら…

さて、お菓子強奪にでかけよう!!

まずは万事屋!
銀さんがお菓子なんかくれる訳無いけど、とりあえずこの仮装は見せたいよね!

「「とりっくおあとりーと!」」

僕らがばたばたと部屋に入って行って叫ぶと、びっくりした顔の銀さんが、すぐにへらっ、と笑う。

「おぉ、はろいんてやつか?なんだよ2人ともガキだねー。なんだよ、菓子よこせってか?てめーら、銀さんの大事な糖分、強奪してくつもりかよ!」

そんな事言いつつ、机の引き出しから食べかけの板チョコを出して、半分に割って僕らにくれる。

「ナンダヨー!食べかけじゃねーカ。銀ちゃんのケチー!!」

神楽ちゃんが言うけど、顔は嬉しそうだ。

「何言ってやがる!銀さんの大事な糖分分けてやるだけでも有り難く思いやがれ!いらないんなら、やらねーぞ?」

銀さんがチョコを隠そうとすると、神楽ちゃんがその手にしがみつく。

「いらないとは言ってないアル!もらってやるヨ!」

銀さんが、ふっ、と笑って神楽ちゃんの口にチョコを入れる。
僕がそれを微笑ましく見てると、銀さんがこいこい、と手招きをする。
僕が近付いていく、

「あーん。」

と言って僕の口にもチョコを入れてくれる。

「美味いだろー?なんせ銀さん秘蔵のチョコだからなー」

僕はもぐもぐとチョコを食べて、にっこり笑う。

「そんなトコに隠してあったんですね。今度一斉点検しますから。」

「ちょっ、新八ー?おめっ、何言っちゃってんの?これが最後のチョコだよ?銀さん子供じゃ無いんだから、もう隠してないって!」

「…凄い汗ですよ?銀さん。」

…明日点検しよっと。
アワアワしている銀さんを後にして、次は…

「「とりっくおあとりーと!」」

がらっと戸を開けて僕らが叫ぶと、びっくりしたお登勢さんとアァと言ったキャサリン。

「あんた達一体何なんだい?」

はろいーんを知らないお登勢さんに、キャサリンとそこに居たお客さんがはろいーんの説明をする。

「ふぅーん、何だい『ろうそく出せ』みたいなもんかい?」

何か納得したお登勢さんが、不思議な事を言う。ロウソクがどうしたんだろ?
店の奥に引っ込んで、ごそごそと何か探ってる。
わーい!何くれるんだろ…
僕と神楽ちゃんが、わくわくしながら待ってると、仏壇に灯すような、白いロウソクを持ったお登勢さんがはい、と僕らにそれを渡す。

「イエ、これは………」

何でロウソク…?僕らが微妙な顔で立ちつくしてると、お登勢さんが怒る。

「うちに菓子なんか無いよ!提燈に灯すんだろ?コレ持ってきな。火の扱いには気をつけるんだよ?」

「イエ、提灯は持っていきませんけど…有難うございました!」

お登勢さんが、ロウソクをビニール袋に入れて僕らに持たせてくれる。
キャサリンのバカ笑いを背中に聞いて、僕らはスナックお登勢を後にした。


「「とりっくおあとりーと!」」

道で会った長谷川さんに行ってみると、近くのコンビニでちろるチョコを買ってくれた。

「「とりっくおあとりーと!」」

次に会った桂さんは、エリザベス型のクッキーをくれた。
…自分で焼いたのかな…?コレ………