誕生日の悪だくみ



もうすぐ新八の誕生日でさぁ!俺の誕生日に恋人になったばっかりだから、恋人として初めての誕生日は気合入れさせて貰いまさぁ!!
楽しみに待ってろよ!新八ィ!!



もうすぐ僕の誕生日がやってきます。恋人…の沖田さんが妙に張り切ってます…
嬉しいんだけど…ちょっと不安だなぁ…沖田さん、結構無茶するからなぁ…
『当日は開けとけィ!!』とか言ってたから、一応万事屋には休みを貰ったけど…どこかに遊びに行ったりするのかなぁ…?だったらお弁当とか作っちゃおうかな…沖田さん何が好きなんだろ…?
『弁当なんかより、新八が喰いてぇ…』とか言われちゃったりしたらどうしよう…

って、ギャ――――っ!僕ってば何考えてんだろっ!?もぅ、ハズカシイなぁ…



うしっ!誕生日でえとの計画は、これでおっけーでさぁ!!

まずは、新八の家にお迎えでぃ!んで、新八を掻っ攫う!!
俺の誕生日の時は早すぎやしたからねぃ、ちょっとゆっくりめに行きまさぁ。

その後はゆっくり電車で移動でさぁ。
本当なら、まいかーでお迎えなんてぇのが良いんですがね?俺ァ車なんて持っちゃいやせんからねぇ。ついでに言うと、免許も持ってやせんし。

でえとの場所は遊園地でさぁ。
でも、着くまでのお楽しみで新八にゃぁ秘密でさぁ。『どこに行くんですか?もぅ、イジワルしないで教えて下さいよっ!』とか言われちゃったりしてねぇ…当然、可愛らしくムクれる顔を拝むんでさぁ!ポカポカと叩かれても良いねィ…
で、着くまでは当然手を繋いで移動でさぁ。
着いた先は大江戸ランド。当然、俺の奢りで!新八の嬉しそうな顔が目に浮かびまさぁ…
新八の事だから、可愛らしい乗り物に乗るんでしょうねぇ…めりーごーらんどとかこーひーかっぷとか。外で待ってる俺に手ェ振ったりするんでさぁ!!お化け屋敷に入って、きゃぁ!とかって抱きつかれたりとか!!
…コレは外せやせんねぃ…メモメモ…っと…
で、最後には観覧車でさぁ!
アレは中でちゅうする為に作られた乗り物ですからねぃ、当然戴きまさぁ。綺麗な夕日の中、ろまんちっくに一発決めてやらぁ!
その後ぁむーども高まってやすから、高っけぇホテルのレストラン辺りに予約入れといて、そのまま…

俺の誕生日には新八の気持ちを戴きやしたから、新八の誕生日には俺を丸ごと差し上げまさぁ!
今から楽しみで眠れねぇや!初めての時は完璧にしたい所ですからねぃ。新八にはいい想い出にしてもらいまさぁ!!シュミレーションもイメトレもしっかりやっときやすぜぃ!!



そして当日。

あー、緊張して眠れなかったでさぁ…そろそろいい時間だし、新八の家に迎えに行きやすかィ…ふぁぁ…



よし!お弁当も完璧っ!
結局何が良いのか分かんなかったんで…鶏のから揚げと、ウインナーと、卵焼きと、ハンバーグと、ブロッコリーと、ポテトサラダと、プチトマトと、おにぎりと、サンドイッチと…デザートにうさぎリンゴを入れてみました!こんだけ有れば、きっと沖田さんの好物有るよね…?
色々作ったんで、今回のお通ちゃんのニューアルバムはちょっとおあずけだけど…がまんがまん!
沖田さん喜んでくれるかなぁ…?たまにしか見れないあの無邪気な笑顔、見せてくれるかなぁ…?それが僕にとってはいちばんのプレゼントなんだけどなぁ…



新八の家の前まで来ると、新八は門の外で待っていてくれた。愛だねぇ…

「新八ィー!迎えに来やしたぜィ!!」

「おはようございます沖田さん!今日はどこに連れて行ってくれるんですか?」

「着くまでのお楽しみでぃ。」

俺がニヤリと笑うと、新八もにっこりと笑う。

「そうなんですか?じゃぁ、楽しみにしてますね?僕、お弁当作ったんですけど…お弁当食べられる所有りますかね?そこ…」

新八が可愛らしく小首をかしげる。

「食べられまさぁ!ダメ、って言われても、意地でも食べまさぁ!!」

「イヤ、ルールは守りましょうよ…」

俺が弁当の包みを持って新八の手を繋ごうとすると、するりとかわされる。
あれ…?
何度かちゃれんじするけど、全部上手くかわされる。

…やるねぃ、新八ィ…

ボヤボヤやってると、新八が先に行っちまった。くるり、と振り返って俺を急かす。

「どうしたんですか沖田さん?駅ですよね?僕、先に行っちゃいますよ?」

「まっ…待ちなせぇ、新八…」

俺が大股で歩いて追いつくと、新八も歩き始める。

「すいやせんねぇ、俺がまいかーでも持ってりゃぁ楽さしてやれるんですがねぃ。」

「あははっ、良いですよそんなの!それに、沖田さんの運転じゃ怖くて落ち着いて乗ってらんなそうですもん。僕が免許取ったら沖田さんが車買って下さいよ。その時は2人でドライブ行きましょう?」

…ちょっとヘコみまさぁ…新八は俺をどんな目で見てんでさぁ…でも…免許は18にならねぇと取れねぇ、って事判ってんですかねぇ…?新八は16だから…あ、17になったのか…そん時もずっと一緒に居たい、って事ですかね?

「じゃぁ、後1年は俺達は安泰、って事ですかぃ?」

俺がニヤリと笑って言うと、新八の頬が赤くなる。

「知りませんっ!まぁ、僕はもっとずっと一緒に居るつもりですけどねっ!!」

赤い顔のまま、スタスタと早足で歩きだす。
もっとずっと…ですかぃ…
嬉しくてニヤニヤが止まんねぇや。
隙を見て新八の手を握ると、ぴくり、としたけど大人しく手を繋がれてる。
…へへっ…こりゃぁさいさき良いや…




電車の中、そわそわ落ち着かない。結構混んでるんで、ぴったりくっついてるから…沖田さんもなんだかそわそわしてる…こんなに近くに居る、なんて事無いし…

「新八ィ…どこに行くか、気にならないんで?」

なんだか嬉しそうにニコニコ笑ってる…

「沖田さんが連れてってくれるなら、ドコでも嬉しいですからあんまり気になりません。」

僕もニコニコ笑うと、沖田さんの顔が赤くなる。でも…ちょっと残念そうだ。なんでだろ…?
まぁ、行先は大体は予想付いてるけどね…この電車に乗った、って事は大江戸ランド辺りかな…?

「そんなに信用して良いんですかぃ?俺ァ、ドコに行くか判んねぇですぜ?なんせ、ドS王子ですからねぃ。」

「大丈夫です。沖田さんが変な所行く訳ありません。」

僕が断言すると、沖田さんは耳まで真っ赤になる。…可愛い…

「そーですかぃ…?」

…でも、やっぱりちょっと残念そうだ…もっと聞いた方が良かったかな…?
色々お話しているうちに、沖田さんがハッ!とする。

「次で降りやすぜ。」

「はい。」

…やっぱり大江戸ランドか…でも、知らないフリしてる方が良いかな…?秘密にしてたいみたいだし…
うん、黙ってついていこう。



改札を出て大江戸ランドに向かう。
俺が、当然新八の手を取って走り出すと、新八の手が俺の手をチョップする。

イテェっ…!?

「なっ…何すんでぃ!?新八ィ…」

「走るの速いですよっ!それに、手を繋いで行くなんて恥ずかしいじゃないですかっ!!小さい子が見てますっ!!」

「なんでぃ、良いじゃねぇか恋人なんだし。見せつけてやろうぜ?」

「ヤですよっ!何でバカップルしなきゃなんないんですかっ!?僕はそこんトコしっかりしたタイプですからっ!いくら沖田さんでも、ビシビシ言っていきますからっ!!」

新八が腰に手を当てて、ギッ!と睨む。
なんでぃ、なんでぃ…ばかっぷる上等じゃねぇかよ…

俺がしよんぼりしながら歩き出すと、新八も並んで歩きだす。

「もぅ…仕方ない人ですね…じゃぁ、帰りは手を繋いで帰りましょう?外暗いですから、そんなに見苦しくないですよね…?」

「…恋人繋ぎ、してくれやすかィ…?」

「はいはい、ちゃんとしてあげますから。」

機嫌直して下さい?と、小首を傾げて俺の顔を覗き込む。
…可愛いぜぃ…新八ィ…

俺が顔を上げて歩く速度を上げると、新八も嬉しそうに笑う。
…まぁ良いか。遊園地でイチャイチャすれば…