思い出。アナタと、僕だけの、思い出。










銀時も神楽も出かけたし、自分も一通りの家事は終わったからと、新八はまったりとした午後を過ごしていた。


しかし


「新八新八!俺明日非番なんでさァ!!だからどっか出かけやしょうぜ!!」


玄関が乱暴に開かれる音とはしゃいだ声によって、それは終わりを告げる。


「沖田さんったらまた隊服のままで。……また仕事サボって来たんですか?」


新八が声をかけると、許可もないのに沖田はズカズカと万事屋に上がり込む。


「んな事気にしなさんな。それより明日!明日一緒出かけやしょう!!」


(あ、ダメだ。言っても通じないや)


沖田の様子を見て、新八はさらに文句を言うのは止めにする。


「いいですよ。明日は僕も休みだし」


新八が言うと、沖田は嬉しそうにする。


「マジですかィ!?」

「マジですよ。どこ行きますか?」

「うーん、夏だし、海なんてどうですかィ?」

「海?」

「おぅ」

「………」


(海、て言えば……)

新八の脳裏をよぎるのは、以前行った海の光景。

(いろいろあったなぁ)


考え込んでしまった新八を見て、沖田は首を傾げる。


「? 新八は、海、嫌ですかィ?」

「え?あ、すみません。嫌じゃないですよ」

「でもなんか考えてたじゃねェかィ」

「それは、ちょっと……」

「何でィ?」

「海って聞いて、前に銀さんや神楽ちゃん達と行った時の事を思い出してたんですよ」


新八の言葉を聞いた後、沖田の動きが止まった。


「えいりあんに遭ったりして、色々と強烈な体験をしたなぁって……って沖田さん?」


固まった沖田に気付き、新八は呼び掛ける。


「……」

「どうしたんですか?」

「………予定、変更でィ」


呟いて、沖田は新八の腕を掴んだ。


「は?」

「今から、海、行きやすぜ」

「は?、て、何、はァァァァ!?」


万事屋に、新八の叫び声が響いた。