すぐに姉上と神楽ちゃんがエロメスさんを拘束して、警察に連絡を取る。
僕は…早く総悟さんの所に行きたいけど…
一応事情聴取とか有るんだろうな。
総悟さんに逢ったら何から話そう…
ううん、まずは謝らなくちゃな。
そんな事考えていたら、僕らの傍にパトカーが止まった。
中からは、強面のおじさんと…土方さんと総悟さんが降りてきた。
あ…!総悟さん…
逢えた事が嬉しくて、ドキドキしながら事情聴取を受けていると、総悟さんはいつもとは違って無表情のまま遠巻きにしている。
…僕が浮気心持っちゃったから…怒ってるのかな…?
土方さんはチラッチラと僕の方見てるけど…総悟さんは目を合わせてくれない…
色々迷ったけど、僕の心はもうはっきりと決まったから。
ちゃんと総悟さんに話したいけど、やっぱり仕事はちゃんとしなきゃ駄目だよね。
これが終わったら…
一通り話が終わって、強面のおじさんがエロメスさんをパトカーに連れていく。
土方さんが意味ありげな目で僕らを見てたけど、特に何も言わないでそのままパトカーに帰っていく。
総悟さん…話を…しなくっちゃ…
「総悟さ…」
「新八くん…そんなに俺が嫌になったんで…?」
凄く悲しそうな表情で、総悟さんが僕にそう言った。
「そんな!そんな事は…」
「俺ら…別れた方が良いですかィ…?」
え…?
そうごさん…いま…なんて…
「そうご…さん…?」
「新八くんは、やっぱり女の方が良かったんだろィ?じゃなきゃ、こんな胡散臭い奴になんざ引っかからねェよな…」
そんな…僕は…総悟さんが好きで…
でも…ホテルで…確かに浮気しようとした…
でも…!
でも…!!
「僕は…!」
「もう一か月も俺に逢ってくれなかったし…本当はもう新八くんの中では俺の事なんざ終わってんじゃねェかって思ってた…」
総悟さんの顔が、泣きそうに歪む。
そんな…いつもあんなに自信満々な人なのに…
そんな顔…僕がさせてしまった…?
まさか…僕が、って言ってたけど…本当は総悟さんの中で僕との事はとっくに終わってたの…?
だから…もう逢いにも来てくれなかった…?
頭が混乱して…もう何も考えられない…
「…沖田さんが…そうしたいなら…僕は…」
「…否定してもくれないんですねィ…」
顔を上げると、いつも通りの…いや、僕以外に見せる無表情で…
「…じゃぁ…別れやしょうか、俺ら。」
目の前が、真っ暗になった。
僕は、心のどこかで総悟さんなら何をしても許してくれると思っていた。
真っ暗な中、物凄く悲しそうな総悟さんの顔だけが、ハッキリ見える。そんな顔…僕がさせてしまっていると思うと胸が痛い。
今すぐに抱き寄せて、嫌だって…そう言ったら笑ってくれる?
でも、僕の手は重くって、指先すら動かせない。
僕の足は地面にくっついたように、一歩も動かない。
僕の口は、呼吸をする事すらできない。
「…それじゃぁ…サヨナラでィ。」
僕に別れを告げて、総悟さんが行ってしまった。
最後に見た悲しい顔も消してしまうような、全くの無表情を僕の記憶に残して。
そして僕は、真っ暗な中に取り残されて、何も考えられなくなってしまった…
つづく
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