真選組の沖田さんから仕事の依頼が来た。
それも、僕、志村新八を指名で!



目覚めたらいよん



どうしても僕じゃなきゃ駄目だなんてどうしよう!
やっぱり、ここ数日でジェントルで頼れる男だって思って貰えたんだと思うと天にも昇る気持ちだ!
折角良いイメージが出来てるんだから、それをブチ壊すなんて馬鹿な事、僕はしないもんね!
朝風呂に入って身体も隅々まで洗ったし!(臭くないよな…)
歯磨きも、20回はした!
さあ!準備は出来た!
清潔感溢れるジェントル新八、すぐに貴女のもとへまいります!!!!!



今日はなんとなく退屈だったんで、仕事は土方さんに任せて、オモチャを呼んでみた。


くつくつくつくつくつくつくつくつくつくつ……


楽しみですぜィ………



急いでゆっくり(汗なんかかかないように)沖田さんの待つ屯所までたどり着く。

チクショウ…気を付けたのに少し汗をかいてしまった…
こんなんで沖田さんに会うなんて、漢・志村新八一生の不覚!

…でも…これ以上遅くなるのはもっとダメだ!
あぁ、僕は本当に駄眼鏡だよっ………

入り口で、警備の人に沖田さんを呼んでもらう。
すぐに、今日も涼やかで美しい女性《ヒト》が、たおやかに現れる。

「こんにちはっ!万事屋です!!本日はご依頼有難う御座います!」

「こんな所まで呼び出してご免なさいねィ、志村君。」(沖田裏声)

「いえっ!いえいえいえ、とんでもないですっ!こちらこそ、仕事を有難う御座います!」

あぁ、やっぱり素敵だよ、沖田さん…
初めて声を聞いたけど、思ったとおり綺麗な女性《ヒト》の声は違うなぁ…まるで、鈴が転がっているようだ……
 



くつくつくつくつくつくつくつくつくつ…


面白ェ…面白すぎるぜィ…何に反応したのか、顔を真っ赤にしやがったぜ?このボウズ。まさか俺の裏声じゃァねェだろうねィ?
しかも、よっぽど急いで来たのか、汗だくだァ。
そんな格好で、真っ黒いでっけェ目で一生懸命俺を見ていやがる。

…犬っころみてぇだなァ………

どれ、もう少しからかってやりますかィ。



「まぁ、汗びっしょり!急いで来て下さったんですねィ…」(沖田裏声)

鼻の頭にかいた僕の汗を、沖田さんの白魚のような指が拭う。


うわわわわわわわわわわわわわわわっ!!!!!!!!


そっ…そんな勿体無いっ!僕の顔はきっと赤くなってるよっ!!
…イヤ、全身か…はずかしぃぃぃぃぃぃ………でも!嬉しい!
暫らくは鼻、洗えないよぅ―――――――― !



俺が鼻の頭にかいた汗を拭ってやると、ぼんっ、という効果音でもするような勢いで、全身真っ赤になりやがった。


ひぃ―――――――っ、腹イテェ―――――


ついでにニッコリと笑ってやると、人間の限界じゃねェかと思うくらい、更に赤くなって挙動不審になりやがった!
面白ェ、面白すぎるぜボウズ。

「とっ…ところで、今回の依頼は何でしょう?」

ヘェ、それでも仕事はやるつもりなんですかィ。感心感心。
まァ、そうじゃなきゃァ面白くねェや。
俺はちょっと照れた感じを演出して、モジモジする。

「あの…こんな事を男性の方にお願いするのは、少々気が引けるのですがねぃィ…」(沖田裏声)

「何ですかっ?何でもどうぞっ!その為の万事屋ですからっ!!!」


ニヤリ。


「実は…コレを買ってきて欲しいんです…」(沖田裏声)

更に恥じらった感じを演出しつつ、そっとメモを差し出す。


くつくつくつくつくつくつくつくつくつくつくつ……


さぁて、どうしますかねェ、ボウズは。

……………これはっ!!!!!!!!!
なっ…なっ…なっ…ナッ……
ナプキン…………

って、え―と…コレはアレですか!?アレですね!?
じょっ…女性専用の…えっと………



ボウズがメモを見て固まる。
さぁ――――て、どうするんでィ?
思春期の男が買えやすかィ?

「ごめんなさいねィ…こんな買い物、他の隊士には頼めないし…私は仕事で行けないし…本当に困ってしまって…」(沖田裏声)

サービスでちょっと頬を染めてやる。困った表情も忘れない。
それでもボウズはまだ固まったまんまだ。
どうすっかねェ…もう一押し二押ししてやっかねィ?

「わっ…分かりましたぁぁぁぁ―――――…いっ
てきますぅぅぅぅぅぅぅぅ――――――…」

俺がもう一押ししようかと口を開きかけると、ボウズが叫びながら走り去る。
オイオイオイ、本当に行っちまったよ。
どうすんだィ?アレァ、ボウズが良く行く大江戸ストアにしか売ってねェメーカーでさァ。これからもしょっちゅう行くのにねィ。


くつくつくつくつくつくつくつ…ご愁傷様。


10分後、ボウズは俺の前にビニール袋を差し出した。
よっぽど急いだのか、汗だくで真っ赤になっていやがるが、ちゃんとこっちが指定したメーカーだし、袋も大江戸ストアの物だ。

…チッ…

まぁ、いいか。
礼を言ってニッコリ笑ってやると、見えない尻尾を振り千切る子犬のように笑いやがった…

…なんでィ…可愛いじゃねェか。

さァて、次はどうやって遊んでやろうかねィ?これからもコイツが居れば、まだまだ楽しめそうでィ…



つづく