夏休み、海へ行こう!!



高校最後の夏休みだけど、夏休み明けすぐに有る試合の為に、毎日毎日部活です。
高杉先輩と坂本先輩も来てくれて僕らに稽古をつけてくれてるし、流石に最後の試合ぐらい出来るとこまで勝ち残りたいからさ…良いんだけど…でも…
恋人になって最初の夏なんだからさ…どこかに行ってみたいじゃん…まぁ、部活のおかげで毎日会えてるけど…
でも!どこかに遊びに行ったりしたいじゃん…夏の思い出とかさぁ…欲しいじゃん…

なんて、総悟君が珍しく毎日真面目に練習してるんだし…僕のワガママで休んだりなんか…出来ないよね…ちぇっ…

「よーし、皆ー!今日の練習はここまでにしておこう!!」

近藤君の一声で、練習が終わる。
…そうだよなぁ…近藤君も休みなく練習してるんだもんなぁ…きっと近藤君が一番遊びに行きたいよなぁ…

「皆よくここまで頑張った!夏休みも残り僅かだが、このまま気合いを入れていこう!!」

 うぃーっス!!!!!

皆もヤル気満々だ!僕だって…1回ぐらいは優勝してみたいよな…うん、頑張ろう!!

「そんな頑張ってきた皆に朗報だ!明日明後日と部活を休みにしようと思う。体を休めるも良し、練習を続けるも良し、好きにしてくれ。ただし、ハメを外しすぎるなよ!?」

近藤君が、ニカツ、と笑う。

マジで!?休みが有るの!?それも2日も…?
でも…きっと皆、練習するんだろうなぁ…総悟君だって…今回は気合入ってるもんなぁ…
皆が、うぉ――――――っ!!と叫ぶ中、総悟君が僕の隣に来る。

「あ、総悟君。明日からお休みになっちゃったけど、練習に来るよね…?」

せめて…一緒にいたいな…

「新八ィ…オメェそんなに練習してぇのかぃ?折角の休みなんだ、俺ァ練習になんざ来ねぇぜ?」

総悟君が、うげぇ、って顔で手をひらひらさせてる。
え…?練習来ないんだ…じゃぁ…会えないのかなぁ…寂しいよ…
僕がしゅんとしていると、総悟君がもっと近くに来て耳元で囁く。

「たまには息抜きも必要ですぜ?明日と明後日は出かけやしょう。夏の想い出、作りやしょうぜ…?」

「えっ!?」

総悟君が、イタズラを思いついた子供みたいな顔でにひゃりと笑う。

「悪ィがもう宿は予約済みでさぁ。大丈夫、保護者も一緒ですぜ?」

「…保護者…?」

「近藤さんと姐さん。」

「姉上ェェェェェェェェェェェェェ!?」

ちょっ…まっ…宿…!?宿って…姉上ェェェェェェェェェェェェ!?
あっ!そう言えば今朝、やけにソワソワしながら朝イチで買い物に行ったっけ…

「総悟君…どこに行くつもり…?」

「海でさぁ。俺の胸板に見惚れなせぇ。」

うっ…海…で…泊まり…?姉上っ…姉上がピンチだ…!!
イヤイヤ待て待て、近藤君に限ってそんな事…僕が慌てて近藤君を見ると、ソワソワソワソワしてる………あ…ダメだ…ヤル気満々だ…

想い出なんて言ってる場合じゃないよ!僕が姉上を守らなきゃっ!!!!



そして翌日。

僕ら4人は駅で待ち合わせて、電車で海へ向かった。
近藤君が色々手配してくれたおかげで、ものっっっ凄く快適な旅でした。
姉上も凄く楽しそうで…そうだよな…近藤君、良い人だもん!そんな変な事考えてない…ってあぁっ!?
お弁当を食べてた近藤君の口の横に付いてたご飯粒を姉上が取ってあげて…食べたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
なっ…何頬を赤らめてるんだっ!!!!!

「あぁぁぁぁ姉上っ!?今何を!?僕は姉上をそんなふしだらな娘に育てた覚えはありませんっ!!」

「あら新ちゃん、私も育てられた覚えはないわよ?大体何を心配しているのかしら?沖田君はともかく、近藤君が変な事考えてる訳無いじゃない。ねぇ?」

姉上が、絶対零度の笑顔を2人に向ける。

「あっ…当り前じゃないですか、妙さん!俺がそんないやらしい事なんて、考える訳無いじゃないですか!!はははははは…」

…近藤君スゴイ汗…考えてたんだ…

「俺ァ姐さんのご期待通りイロイロ考えてやすぜ?今晩新八は貰いやすから。」

総悟君が僕の手をぎゅっと握って言い放つ。
あぁぁ…総悟君何言っちゃってんの!?姉上にボコボコにされ………てない?
あれ?姉上…?頬を赤くして、何かブツブツと呟いてる…

「そうよね、沖田君ってそう言う人よね。勲君も少しは沖田君みたく…」

「…姉上……?」

僕が声を掛けると、びくぅ!とした姉上が、慌てて僕を見る。

「姉上本当は…」

「何かしら?新ちゃん?」

姉上が、これ以上何か言ったらコロス…的な笑顔で僕を見る。
僕は何も見てない、何も聞いてない…