人生不幸と幸せは半分半分。



今日も元気だ任務も終わった!
もう夕方だけど、今の時間なら公園に行けばチャイナさんと定春君を迎えに行ってる新八君に会えるかもしれない!

任務上がりの山崎が、下心満載で公園を覗く。

居た―――っ!新八君、ベンチで休んでるよっ!あぁ、ただ座ってるだけだけど、可愛いなぁ…ココの公園、ちょっと遠回りだけど来てみて良かった―っ!
…って、えっ?アレっ?新八君のフトモモに何か茶色いカタマリが…辿っていくと、黒いカタマリ…
ちぇ―っ、沖田隊長も一緒かよ…い―な―!い―な――!!膝枕っ!!俺もやって欲しいなぁ!
…あ―あ、新八君幸せそうだよ…あんな笑顔、俺もさせてみたい……あ、何か言ってる…

仕事柄、読唇術は得意な山崎。愛しのあの子の言ってる事は全て聞きたい!無駄にそのスキルを使ってみたりする。

「…ソ・ウ・ゴ・さ・ん・そ・ろ・そ・ろ・ひ・え・ま・す・よ・か・ぜ・ひ・い・ちゃ・い・ま・す………何だよ!それくらいじゃ隊長は風邪なんかひかないって!チクショー良いな!俺も心配されたい―!!」

木陰に潜みながら、スルスルと2人に近付いていく。再び無駄に監察のスキルを使う山崎。

「…アレ?今度は真っ赤になったぞ?あ―、テレ顔も可愛い…なになに…?そー・ちゃ・ん・の・ば・か…何だよ!何それ!!総悟さんだけじゃなくて、そーちゃん!?羨ましい―!!」

無駄にスキル全開で、気付けばもうすぐ2人の居る場所。でも山崎は気付かない、新八の唇に釘付けだから。

「俺も退さんとかさ―ちゃんって呼ばれた―い!!」

「…山崎さん…?」

すぐ横の草むらまで移動していた山崎。突然わいて出た山崎にびっくりした新八が振り向く。

「あっ…新八君、こんばんわ。」

「こんばんわ…」

「…何してんでぃ、山崎君…」

ムクリ、と起き上がった沖田がジロリと睨む。
びくっ!と震えた山崎は、それでも草むらを出て新八に近付く。

「もう遅いからね、新八君を送って行こうかなぁ―、とか…」

「余計なお世話でぃ!新八には俺が付いてやすからねぃ。」

沖田は新八をぐいっと引き寄せて、頬にキスをする。

「なっ!ちょっ!そ―ちゃんっ!!アンタ人前で何てことするんですかっ!!」

真っ赤になった新八が、ぺしぺしと沖田の頭を叩く。

ずきゅん!!

あぁっ!叩く仕草も可愛い…
色んな所がヒットする山崎。大変だ。

「なんでぃ、人前じゃなきゃ良いんですかぃ?そ―いやぁ、アノ時もえらい積極的になりやすねぇ…」

沖田がにやりと笑って山崎を見る。
あからさまにアテツケだ。
更に新八を抱き寄せる。

「そっ…それは…2人きりなら…僕だってそ―ちゃんに甘えたいし…喜んでくれたら嬉しいんだもん…」

真っ赤な顔のまま否定しない新八。

「え―っ!え―っ!?新八君否定しないの!?」

山崎の言葉ではっ!?と我に返る新八。
沖田の顔をぎゅ―っと押しのけて、腕の中からなんとか逃れる。

「そっ…それじゃ僕はそろそろ帰りますね?晩ご飯の支度、しなくちゃ。じゃ、総悟さん又後で。山崎さんも、失礼します。」

「や、送って…」

山崎の伸ばした手は届かないどころか見てももらえない。
ひゃ―とか言いつつ、新八は小走りで去っていってしまった。取り残される2人。