バトルなんとか大体育祭!!


うららかに晴れ渡る青い空、今年もやってきました体育祭!!
去年は初めてだったんで、何も分からなくて先輩に言われるままわたわたと終わってしまったけど、今年は違う。
準備段階から皆で色々意見出し合って、応援用の旗とか看板を作ったり、体育祭用のTシャツ作ったりしたんだ!
えへへー、実はTシャツのデザインは僕がやったんだ!『お絵かき新ちゃん』の異名はダテじゃないぜ!!

「新八ィー、このクラスのTシャツの絵ェ描いたの、新八って本当ですかィ?」

「あ、総悟君!えへへー、良いでしょう!!会心の作だよ!!」

「…本当なんですかぃ…ある意味会心の一撃でさぁ…」

僕が自信満々で振り向くと、ゲッッッッッッッッッッソリした総悟君が、Tシャツを摘みながら、恨みがましい目で僕を見てる。

「何だよその顔!?僕のデザインした『お通ちゃんTシャツ(応援団バージョン)』のどこが気に入らないんだよっ!?」

そう、僕がデザインしたのは、体操服で元気に僕らを応援しているお通ちゃんをデフォルメしたイラストを、前面にあしらったTシャツだ。
クラスの皆は可愛い、って言ってくれたのに!!総悟君センス無いよ!

「ダサい…」

「何がだよっ!!お通ちゃんの良さが分からないなんて総悟君がダサいよっ!!」

僕がむぅと膨れると、総悟君があきれ返ったって目で見て、僕の頭をぽんぽんと撫でる。
なんかムカツクなぁ!

「ところで新八ィ。おめぇ体育祭では何に出るんでぃ?」

にこにこ笑いながら総悟君が僕に訊いてくる。
…この人、自分が出る種目知らないだろ…そうだよね…

「誰かさんのおかげですんごいいっぱい出る事になりましたよ。アンタが出る種目全部です。」

「へー、そうなんですかぃ?」

総悟君がにへっ、と笑う。
あー、もうムカツク!!
総悟君が何か決める時には全部サボってたんで、沖田係の僕に全部しわ寄せが回ってきたんだよっ!!
無駄に運動神経良いからな、コノ人…
いろんな種目に出るように決められて、僕に絶対連れて来い、って指令が下ってるんだよ!!

「今日は僕、総悟君から離れませんから!トイレ行く時も着いて行きますからねっ!!」

「新八のえっちぃー」

総悟君が両手で胸を押さえてシナをつくる。イラァァァァッ!!

「えっちー、じゃない!!アンタ今日もサボる気満々だったでしょ!?悔しいけど総悟君は大事な戦力ですからねっ!逃がしませんよ?僕のプライドにかけてっ!」

にこにこ笑ってる総悟君の腕を掴んで赤組のテントに引っ張っていく。
コノ人逃がしたら、僕が皆に責められるんだから…

あ、僕らは赤組です。
1年から3年までのABC組が白、XYZ組が赤に分かれて戦います。
赤組には高杉先輩と坂本先輩も一緒なんで、凄く心強かったりします!

午前中から僕らの出る競技が目白押しで…
100m走・200m走・スプーン走に障害物走に玉入れ。
走る競技ならまだしも、玉入れまで上手いなんて!!なんなの、コノ人!?

「あんた、本当に無敵ですね…なんで玉入れまで上手いんですか…」

僕がじろりと睨みながら言うと、総悟君がへらっと笑う。

「玉より別のモン入れる方が得意ですぜ?痛くしねぇから入れられてみるかぃ?新八ィ。」

「は?何がですか。とりあえずお断りします。アンタがそういう顔してる時はロクな事が有りませんからね。」

ちぇー、と言ってる総悟君の手を引っ張ってテントに戻ると、坂本先輩と神楽ちゃんが出迎えてくれた。

「新八!なかなかやるナ!」

「有難う神楽ちゃん。神楽ちゃんも大活躍だね!」

褒められてちょっと照れた神楽ちゃんがポリポリとほっぺたをかく。
神楽ちゃんは女子100m・スプーン走そして何よりパン食い競争で驚異のスピードを叩きだした!
流石、食べ物がかかると無敵だよね…

「午後からの綱引きと騎馬戦もまかせるヨロシ!弁当食べに行くヨ!アネゴが待ってるネ!!」

神楽ちゃんが僕の腕を引っぱるけど、坂本先輩が…

「神楽ちゃん、ちょっと待って?坂本先輩、しゃす!どうしたんですか?」

「おー、午後からの部活対抗リレーの打ち合わせじゃ。2年は志村と沖田に出てもらうからのー、確認ぜよ。」

「あぁ!今年は仮装リレーでしたっけ?」

去年も部活対抗リレーは体育祭の人気競技だった。
去年はさぁ…部活の時のユニフォームで走るんだったんだ…陸上部とか水泳部に比べて、剣道部はもんの凄い不利だったよ…

「そうじゃ、今年はワシも抗議したからのぅ!で、その仮装なんじゃが、おまえらウエディングじゃきに。どっちがどっち着るか決めとくぜよ。」

「……………は?………………………]

「じゃけん、ウエディングドレスかタキシードか。」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

仮装って、そう言うのか!?着ぐるみとかじゃないのか!?

「…じゃあメイドとギャルソンにするがか?Wレースクイーンでも良いぜよ?お、ラムちゃんってのも有るぜよ?ナースも…」

「…………………ウエディングでお願いします………」

今年は何だ!?女装レースかっ!?

「良い事聞いたネ!さっそくアネゴに報告アル!新八、オマエがウエディングドレス着るヨロシ!アネゴメーレーネ!!」

ニヤリと笑った神楽ちゃんが走り去っていく…イヤ、ちょっと…

「決まりですねぃ。姐さんの命令は絶対ですからねぇ…坂本先輩、そう言う事でお願いしまさぁ。」

「おぅ、判ったぜよ。部費がかかってるきに、優勝ねらうぜよ!!」

坂本先輩がそう言って去っていく。…目が怖いよ…
総悟君がニヤリと笑ってへーい、とか言ってる。チクショウ…自分は女装から逃れたからって気楽に言いやがって…
いつの間にかお弁当を持ってきてた総悟君にせかされて、げんなりしたまま屋上に向かう。
屋上に着くと、姉上が嬉しそうに

「楽しみにしてるわ、新ちゃん。」

とか言ってくる。
…カメラも用意してるよ…勘弁してよ…
いいよ、もう。僕の方がシャレになるよね?総悟君のドレス姿はシャレにならないもんな…
1年の時にやったメイドの時も、もんのすごい美人さんになってたからなぁ…
あの後、男子生徒からのラブレターで、大変だったもんなぁ…総悟君…

うん、僕で良かったんだ………はぁ………