冬の日の出来事。


部活も終わった帰り道、今日はマフラーのお礼にと、高杉先輩が僕におまんじゅうを奢ってくれるというので、先輩と、総悟君と、僕とで近くのコンビニに行く所です。

「すみません、先輩…こんな…奢ってもらっちゃうなんて、なんだか申し訳ないです…」

「…良い…マフラー…あったかいから…」

高杉先輩がにっこり微笑んで僕の手を繋ぐ。
わ、冷たい手…やっぱり手袋も編もうかな…

「先輩、手ェ冷たいんですかィ?俺ァ手袋2組持ってやすんで、1組差し上げまさぁ。」

総悟君が手を繋いでいた僕らの間にゴールして手をほどき、鞄から出した白い手袋を先輩に差し出す。
繋いだ手のまま差し出していた先輩が、ぐーぱーをしつつ、手を引っ込める。

「…いらない…別に手…冷たくない…」

先輩が、ぷい、と横を向く。
えー…?じゃぁなんで手繋いだり…?ってか、冷たかったよね?先輩の手……あ、そうか!

「総悟君、白い手袋はナイよ、ナイナイ!赤いマフラーに白い手袋なんて、そんな目出度い組み合わせ、僕だったらヤだよ!」

僕が、あははー!と笑うと、先輩もコクリと頷く。

「先輩、僕、手袋も編みましょうか?先輩に貰った毛糸、まだ沢山有りますよ?」

僕が言うと、先輩がコクリと頷く。

「…よろしく…」

「はい!」

先輩なら、ミトンが似合うよなー、想像すると何か可愛い♪
頑張って編もう!!
僕と先輩ががご機嫌になるのに比例して、総悟君の機嫌が悪くなる。
もぅ…総悟君ってば…

「総悟君の気持ちは伝わってるって!色が悪かったんだから、落ち込む事無いよ!!」

僕が笑顔で総悟君の肩をぽんぽんと叩くと、大きくため息をつく。

「そうじゃないんですがねぇ……」

ヤレヤレ、って感じで肩を竦める。
何だよ、ムカつくなぁ…

そうこうしているうちに、コンビニに着きました
早速僕が肉まん、先輩があんまんを買ってコンビニの外で食べていると、ピザまんとお茶を買った総悟君がまんじゅうを銜えながら出てきて、僕と先輩にお茶を差し出す。

「あっ…有難う総悟君!」

「…ありがとう…」

ニッ、と笑った総悟君が、おまんじゅうを食べきって、

「どういたしまして。」

と言う。
すぐに2個3個と食べていくのを見てたら、ピザまんも美味しそうに見えてきた…

「ピザまんも美味しそうだねー。」

僕が言うと、ん、と言いつつ総悟君が食べかけのピザまんを差し出してくる。

「良いの?いただきまーす!」

ぱくり、とかぶりつくと、総悟君が満足げな顔で残りは食べきってしまう。
うん、ピザまんも美味しい!

僕らがえへへー、と笑い合ってると、じぃ――っと見ていた高杉先輩が、あんまんを差し出してくる。

「え?先輩、くれるんですか?」

「…うん…」

ぱくん、と食べると、口の中に甘い味が広がる。

「えへへ、デザートまで頂いちゃってすいません!有難う御座います!!」

「…うん…あ…しんぱちあんこ…ついてる…」

高杉先輩が、僕の口の端に付いていた(らしい)あんこを、ぺろりと舐め取る。
…!?…なっ…ふっ…普通手で取るんじゃっ!?手で!!
僕が真っ赤になって口を押さえていると、にっこり笑った高杉先輩が…

「…うん…取れた…」

と、嬉しそうに言う。
せっ…先輩に他意はないんだよねっ!?何か得意気だし…きっと親切心だけで取ってくれたんだよねっ!?
…いつも誰にでもこういう風に取ってるんだよねっ…!?