「妙さん…とおっしゃいましたか…?」

「はい…」

柔らかい笑顔がカッコいい!
僕もあんな人に…

「俺と結婚して下さいー!!」

「…はぁ…?」

近藤さんがいきなり土下座した!?
あれ…?さっきまでの凄くカッコいい人何処行ったんだ…?

「俺はァー貴女にひとめぼれしましたぁーっ!どうか…どうか俺と結婚して下さいーっ!」

床に頭をこすりつけて土下座する姿は、さっきまでと同一人物とは思えない…

「いえ、あの、いきなりそんな事言われても…」

「今日俺が貴女に逢えたのは運命です!どうかこの手を取って俺と一生添い遂げて下さいーっ!!」

「ですから!今日初めてお会いした方とはそんな事考えられません!」

「大丈夫です!一緒に暮していれば、すぐに判ってもらえます!」

「はぁ!?あの、話が先走り過ぎ…」

「式は教会が良いですか?神前が良いですか?妙さんならどっちも似合うでしょうなぁ…!」

「ですから…」

「子供は2人以上欲しいですね!」

「あの…」

「マイホームも建てなきゃなぁ…何部屋ぐらい欲しいですか?」

「………」


ぶちっ…


「どうしました?妙さんはシャイな方だなぁ!」

ポッと頬を染める近藤さんを見ずに俯いていた姉さんが、ふるふると震えだす…

「そー君…避難するよ…」

「へっ…?」

ぽかんと2人を見ていたそー君の手を引いて、カウンターの影に避難する。
僕…知らない…

「妙さん…?」

「やかましいわ、ゴリラァァァァァァァ!」

姉さんの拳が近藤さんを急襲し、近藤さんの顔が変形する。
悪いけど、ああなった姉さんを止める事は僕には出来ないよ…ちょっとだけ気持ち分かるし…

「ちょっ…妙さん!?暴力はいけませんよ!激しい愛情表現ですね…」

「まだ言うかァァァァァァァァァァ!?」

更に激化する拳の嵐を、僕ら2人はこっそり見守ってる。
流石のそー君も、ビックリしたのか黙って見ている。
我に帰ったら…あの中に助けに入るのかな…?
僕は…そー君を止められるかな…?

「たっ…助けて総悟!新八君!!」

あぁ…近藤さんが手を伸ばしてくる…
そー君…行っちゃうかな…?あれ…?動かない…

「…そー君、助けないの…?」

「…アレは近藤さんが悪ィや…妙ねえちゃん我慢したほうでィ…」

「…そうだねぇ…」

暫く姉さんの攻撃に耐えていた近藤さんが動かなくなると、やっと姉さんが落ち着く。

「…ちょっと素敵だと思ったのに…」

「えっ…ちょっ…姉さん…?」

ぼそりと呟いた言葉が信じられなくて、僕が姉さんの顔をまじまじと見ながら聞き返すと、倒れていた筈の近藤さんが、びょいーんと起き上がる。
怖っ!!!

「本当ですか!?妙さーん!」

蘇った近藤さんが笑顔で姉さんに駆け寄ると、又姉さんが床に沈める…
カウンターに座った姉さんに、そー君がコーヒーを出す。

「妙ねえちゃん…」

「そー君、貴方の親代わりがこんな風なら、色々考えなおさなきゃいけないかしら?…あら、美味しい…」

「そんなぁ…」

「姉さん!そー君は僕のお嫁さんになるんですよね!?」

「さぁ、どうかしら。」

「姉さんんんんんんん!?」

くすくす笑って美味しそうにコーヒーを飲む姉さんは、僕らが焦ってるのを見て楽しんでるだけみたいだ…



それから、何を気に入ったのか姉さんは近藤さんの喫茶店に良く顔を出すようになった。
その度に大騒ぎになるのを楽しんでるみたいだ…

僕とそー君は…相変わらず僕はそー君に振り回されてるけど…
でも、とっても幸せです。
いつか本当にお嫁にもらおうとか…想ったりして…

「…何言ってんでィ。嫁は新八の方だろィ。」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「俺がたっぷり稼げるようになるまで…待ってて下せェ…」

ちゅ、とキスされて、にこりと微笑みかけられるとそれだけで、それも良いかって思っちゃう…

「…あんまり待たせないでよね…」

「へい、善処しやす…」

もう1回キスをして、微笑み合うと幸せが溢れてくる。

気付いた時は、こんなにも好きになってて…

そー君が居る事が当たり前になってて。

これからもずっと、一緒に居たいだなんて…

僕はもうこの子にメロメロだ。

だから、大切にしますから。

どうか僕に、この子を下さい。

…僕が貰われるんじゃないからね!

「諦めろィ。」

「そー君っ!!」

怒ってみせたりしたけれど、本当は一緒に居られればどっちでも良いかって…
そんな事想ってしまうんだ。

「…大好き…」

「俺もでィ!」

これからも、色々有るだろうけど…
きっと色々悩むけど。
僕らはまだまだこれからだから、よろしくね?そー君。

そんな気持ちを一杯こめて、僕はぎゅっと抱きついた。


END