MONSTER・3



全てが終わった頃にはもう昼も過ぎていて…
ついでだからと、お昼ご飯を食べに行く事になった。

「やっぱ新八くんも血の滴るようなレアステーキとか喰うんですかィ?それともトマトジュース?」

通り道に有ったファミレスに腰を落ち着けると、メニューを見ながら沖田さんがそんなベタな事を言ってくる。

「…肉なんて食べれる訳無いじゃないですか…それに、トマトジュースだって高いんですよ?…主に白米にふりかけとか…です…」

ちょっと恥ずかしくなって俯きながら僕が言うと、クスリと笑った沖田さんが勝手にステーキを注文する。

「…あのっ…!僕…お金無いんですけど…」

慌てて僕が言うと、にっこりと笑った沖田さんが胸を張る。

「そんなの俺がご馳走するに決まってらァ。大事な嫁さんに、ひもじい思いなんざ、させやせん。」

…どうしよう…沖田さんがキラキラと光って見える…
肉なんて久し振りだもんな…ドキドキしてきたよ…

「惚れなおしやした?」

そんな僕を見計らったように言われたら…思わず素直に頷いてしまった。
もう…逃げようなんて…しないよ…?
ずっと一緒に居る覚悟は決めたから…

一瞬ビックリして目を見開いた沖田さんが、酷く嬉しそうに笑ってくれる。
あぁ、やっぱり僕は、この人の事、とても好きになってしまった。
ずっと…ずーっと、一緒に居たい位…

すぐに運ばれてきたステーキは美味しくて、甘い血が疲れた体を癒してくれた。



「んじゃ、行きやすか。」

ファミレスを出て万事屋に戻ろうとした僕の手を掴んで、沖田さんが何処かに歩きだす。
こっちは…万事屋方面じゃないし…何処に…?
それでも、手を引かれるまま歩いて行くと、着いた先は真選組の屯所で…
こんな所に連れてきて、どうするつもりなんだろ…?

…まさか…
ここでもう同居するとか!?
そんな…銀さんや皆にちゃんと挨拶しないと…一緒になんて暮らせないよっ!
僕が引かれていた手を引き返すと、立ち止まった沖田さんが柔らかく微笑む。

「緊張しなさんな。俺んトコが終わったら、ちゃんと俺も新八くんの方に行きやすから。」

…何が…?
良く分からないまま沖田さんに連れられて屯所内を進んで着いた所は…

「近藤さん居やすか?」

「おぉ、総悟…あれ?新八君?」

…近藤さんと土方さんが、難しい顔で何か話している最中の部屋だった…
えっ!?ちょっ…なんだか重要そうな会議の最中とかじゃなくて!?
そんな所に僕なんかが乱入したら…あああ…!土方さんがめっちゃ睨んでるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!

「おっ…沖田さんなんでこんな所に…今、僕は凄く邪魔なんじゃ…」

「大丈夫でィ。どんな事より俺らの話の方が重要でィ!」

沖田さんは自信満々に言うけど…土方さんの目が怖い!怖いよっ!!

「…総悟、丁度良かった。お前の縁談の話をしていた所だ…」

僕の存在は無視して、土方さんが沖田さんに話しかける。
なんかちょっとムカつくな…それも、縁談って…!

…まぁ…ハグレなら少しでもそういう血の者を見付けたらそういう話になるよな…
その上沖田さん真祖だっていうし…

「それ、断って下せェ。俺ァ連れあい見付けやしたんで。ちゃんと同族ですぜ?」

「何っ!?」

どや顔で土方さんを見下ろす沖田さんを、珍しく怒鳴り散らさないで土方さんが見つめる。
嬉しそうだけど…僕だ、って言ったらどんな反応するんだろう…

「おー!そうか!それは良い!で?誰なんだ?新八君が一緒って事は…チャイナさんか?前々からあの娘は怪しいと思って…」

「近藤さん、違いまさァ。俺ァちゃんと本人連れてきやすぜ。」

沖田さんが言うと、近藤さんが首を傾げる。
…そうだよね…普通はそう思うよね…

「え?じゃぁ…まさか…お妙さん…!?お妙さんなのか!?ダメダメダメ!いくら総悟でも、お妙さんはダメ!」

「違いまさァ」

ちょっと遠い目になった沖田さんを、近藤さんが掴み上げる。
わぁぁぁぁ!
僕も駆け寄って沖田さんを支えていると、ゆらり、と立ち上がった土方さんが怖い目で睨む。

「それぁ…俺達が納得できる女なんだろうな…?」

ぴたりと動きの止まった近藤さんが、沖田さんを離してくれる。
あぁ、良かった!!

「さぁねィ…納得するかどうかなんて知った事じゃねェや土方死ね。」

「お前が死ね。連れてくる、とか言ってたが…俺には眼鏡しか見えねぇが?」

「何、人の嫁口説こうとしてやがんだエロ土方。」

「「はぁっ!?」」

嫁発言と一緒に僕を引き寄せて腕の中に納めた沖田さんがを見て、2人がポカンと口を開ける。

「イヤイヤイヤ、総悟君落ち着いて!新八君は男の子だからね!?お妙さんに似て可愛いけど、男の子だからね!?」

「近藤さんこそ落ち着きなせェ。そんな事ァ昨夜じっくりたっぷり確かめやしたから。」

「ちょっ…そぉごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

…近藤さんが壊れた…
土方さんは、その隣でゆっくり深呼吸して、叫ぶ近藤さんを座らせる。
そして、ジロリと僕らを睨んでゆっくりと口を開く。

「総悟…コイツは…男だよな…?それに…俺らと同族だが、別物だろう…?」

「そうでィ。吸血鬼でさァ。」