もっと神様といっしょ



沖田様がウチに来て…イヤ見えるようになって1週間。
僕は毎日てんてこまいしている。


…神様って…

ご飯食べるんだっけ?
テレビ見るんだっけ?
買い物するんだっけ?
一日ゴロゴロしてるんだっけ?
お風呂覗くんだっけ!?
人の布団に潜り込んでくるんだっけ!?
隙有らば触ろうとしてくるんだっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?

その上、神社の方も忙しくなってきて…
ここ最近姉上が居なくなって寂しい、とか思っていた事がウソみたいに毎日が目まぐるしく過ぎていって…
僕はいつも倒れるように寝てしまう。
その上、朝起きたら必ず隣におっそろしいくらい綺麗な顔が並んでるし…
起きてすぐから、心が休まる暇がない。

…でも…

1人で食べていたご飯は、賑やかな食卓になって、美味しくなった。
寂しくて付けていたテレビは、2人でツッコむようになって面白くなった。
皆が姉上を忘れてしまっている商店街にも、普通に行けるようになった。
一日中ゴロゴロ、って言っても参拝の方がやってきたら仕事はしてるみたいだし…
布団に入ってくるのは、僕が眠れない時だけだ。
それに、嫌な夢を見て夜中に飛び起きる事も無くなった。なんでか暖かくて…

…まぁ…お風呂とスキンシップは…アレだけど…

なんだかんだ言って、あの人もやっぱり神様なんだなぁ…
参拝の方達もお参りすると良い事が有るみたいで、沢山来て頂けてるし。
実は凄い神様なのかな…?ぜんっぜん見えないけど…
それに…



「新八ィ…何か失礼な事考えてやせんか…?」

「うひゃぁっ!?」

境内の掃除をしながらそんな事を考えていると、イキナリ後ろから沖田様が抱きついてくる。
みっ…耳元で喋らないで欲しいんだけど…っ…!!

「あー、すいやせんすいやせん。新八くんは耳が弱いんでしたっけねェ。」

「嫌な言い方しないで下さい!僕の何を知ってるんだアンタ!?それに、考えてる事勝手に見るなって…」

ギッ!と睨みつけると、すぐ横にニヤニヤと笑う綺麗な顔…
畜生、心臓ドキドキなんかしてないからなっ!!

「いかな俺でも、こんだけ近いと新八くんの考えてる事全部はスルー出来ねェや。」

「じゃぁ抱きつかないで下さい。」

「何でィ、新八くんが寂しがり屋さんだから俺ァ甘やかしてるんですぜ?」

そう言って、優しい顔で微笑んで、僕の頭を撫でる。
たまに…こういう顔で沖田様は笑う。
いつもはなんだか意地悪な顔で笑うのに…
本当に僕は甘やかされているんだと…この人はやっぱり神様なんだと思わせられる。

「…そんなの…要りません…」

「何でィ、新八くんのツンデレー」

「ツンだけですけど?」

「へいへい」

いつまでもそんな事している暇なんか無くて、ぎゅうぎゅうと抱きつく沖田様を引き摺って、境内の掃除を終わらせて買い物に行く事にする。

あ…そうだった…

社務所の方に回って、中に声を掛ける。

「銀さん、神楽ちゃん、僕買い物に行ってきますんで宜しくお願いします。」

「お〜う、いちご牛乳よろしく〜」

「酢昆布も忘れんなヨ!」

「はいはい、いってきます。」

「いってらっしゃ〜い」

「いってらっしゃいヨー」

ここ最近忙しかったんで、今は町の万事屋さんにアルバイトをしてもらっている。
なんだかだらだらした人達だけど、2人とも心根は優しい人達だ。
何より依頼料安いし…沖田様のお墨付きだしね。
どこからかソコのチラシを見付けてきた沖田様が、アルバイトにどうですかィ?とか勧めてくれたんだ。

…まぁ…ちょっとした仏心でお昼ご飯を出してからは…すっかり僕のご飯を気に入ってくれた2人が食卓に加わって、沖田様だけでも賑やかだったのに、ものっすごく賑やかになった。

毎日大変で大変で…でも、楽しい。

ふふっ、と笑うと僕の後ろを歩いていた沖田様がぐるりと回りこんできて顔を覗く。

「何でィ、気持ち悪ィなメガネ。」

「折角楽しかったのに何なんだよアンタはァァァァっ!?…でも…全部沖田様のおかげですからね…」

にこりと笑いかけると、きょとん、とした顔が可愛い。
すぐにニヤリと嫌な笑顔になるんだけど…

「感謝の気持ちはちゅーで良いぜィ?『好きです沖田様(はーと)』でも可。」

「するかボケェェェェェ!!!!!」

「へいへい」

…又だ…
又あの優しい顔で、にこりと微笑みかけてくる。
いつもの甘やかしてる顔の筈なのに…何故だか分からないけど、僕は凄く怖くなった。
そのまま沖田様が消えて無くなってしまう気がして。
ウチの神様なんだから、居なくなる筈なんて無いのに…

「…沖田様…」

思わず呼びかけて、ぎゅっと袖を握ってしまう。
そんな事したら、きっと沖田様調子に乗るよ…

「どうした?新八ィ」

にこりと笑う綺麗な顔が、消えそうで…え…?
眼鏡を外してゴシゴシと目を擦る。
もう1回じっと見つめると、沖田様の顔がニヤリと笑う。

「何でィ、そんな見るほど男前かィ?惚れやした?」

…やっぱり気のせいだ…

「そんなんじゃありません。僕の目が悪くなっただけです。」

「そりゃ、残念。」

…でもやっぱり…クスリと笑う表情は…何処か寂しげで…
僕の心臓はドキドキと煩く騒ぐ。
これは…何だろう…?