サイド山崎

高校生になって初めて好きになった女の子には、おっそろしい兄貴が二人も付いていた。
その上その子の父親は恩師で…
更に、ひねくれてるけど憎めない友人が、人生で初めて好きになった女の子だった。

ちょっとそこまで俺って運悪いの!?
ってかあの人達に俺が勝てる要素なんて見当たらない。
もーめんどくさいからさっさと次に目を向けよう!
好きだけど、命は惜しいからね!!

…そう思ったのに…

いつの間にか俺まで騒ぎに巻き込まれてて。
その上、地味キャラ同士だからか、そのコと俺はいつも二人だけ騒ぎの中心に取り残されて変な連帯感が生まれて…
なんやかんやと話をしたり、俺だけに嬉しそうに笑いかけてくれたりしたら…

とてもじゃないけど割りきって他のコを好きになるなんて出来る訳無いじゃん!
だって隣に居るんだもん!
手を伸ばしたら届く所に居るんだもん!!

それなのに…
俺が勇気を持って手を伸ばした時にはそのコの手はもうひねくれた友人に向かってて…
本人は気付いて無くても、嬉しそうに恥ずかしそうに好きですオーラを全身から出されてたら、俺は君が好きだなんて言えなくて…でも諦められ無くて…

だから俺は考えた。
もうこれは隙を狙うしかないって。
こっそりジワジワ彼女の隣に堅固な俺の場所を作って、あのひねくれた友人が手を離した一瞬の隙を狙うしかないって。
その隙に俺が彼女の手を握ろうって。

勿論その時に俺意外の誰かが彼女の隣に立ってちゃ困るから、ひねくれた友人以外は立たせない。
おっそろしい兄貴達や、だらけた教師や、その他諸々のヤローども。
使えるモノは全部使って、余計なモノは排除する。

そして、ちょっとの隙も見逃さないように沢山の目と耳も用意した。


さぁ、準備は万端整った。
早く手を離してよ沖田さん。
パチ恵ちゃんを俺に下さい。