サイド源外

やれやれ、どこも難儀なこって…
あっちを立てればこっちが立たず、こっちを立てればあっちが立たず。
皆が皆一生懸命なんで、俺が誰かに加担してやる訳にはいくめぇよ。

それでも、孫娘みてぇな嬢ちゃんが、声を殺してポロポロと涙を流してっ所見ちまったら、少しぐらい何かしてやりたくなっちまうだろ。

「ジジイ!余計な事してんじゃね~よ!!」

なんて息子みてぇな同僚に怒鳴りこまれて、説教の一つもしてやんなきゃいけねぇハメになったとしても。
男が女の涙に弱いってぇのは、太古の昔から決まってる事だからな。

「あんな密室作っちゃってさ~!不純異性交遊しだしたらどうすんだよ全く。」

なんてまっとーな事言ってっけど、あの子らじゃー無い無い。
手ぇ握ったぐれぇで真っ赤んなってっからな。 その事ぁ知ってるか?銀の字よぅ。
生徒達はまだまだおめぇと違って初心なんだぜぇ?

その上、アソコにゃぁ盗聴器が山ほど仕込まれてるしなぁ。
誰が仕込んだんだか知らねぇが、あんだけありゃぁちょっとした音も逃さず何か有ったらどっからか邪魔が入るだろーよ。

なんで知ってるかって?
そりゃぁ企業秘密だ。


何より、あの二人は俺の発明品の良いモニターだからなぁ。
俺の為にも、ちょっとぐらいは贔屓してやるさ。

おかげで結構ヒットしてるからなぁ、俺の作品。

え?
アイツらの味方なんじゃないのかって?
初めに言ったろう?
俺ぁ誰かに加担してやる訳にゃぁいかないってな。