お姫様とセクハラ王子



あー、気が重い…昨日あんな事が有ったから、学校行きたくないなぁ…
でも…姉上は学校休ませてくれないだろうしなぁ…
あーあ…いちお、言うだけ言ってみようかなぁ…

「あの…姉上…私今日学校…」

「あら、ぱっちゃんどうしたの?まさか、学校に行きたくない、なんて言わないわよね?」

姉上が、綺麗な笑顔で私にプレッシャーをかけてくる…
…やっぱり駄目だった…理由は言えないし…そんな事言ったら沖田君、殺されちゃうよな…
うーっ、全部沖田君のせいだ!
あんな…あんな事するからっ…どんな顔して逢えば良いんだよぅ…
それに、アレって…一応告白だったし…私、答えてないし…
どうしよう…きっ…きすされて好きだって思っちゃったなんて…恥ずかしくて言えないよぅ…
でもっ!断れない…ううん、断りたくないよっ…
沖田君があっ…あんなコトしなかったら…ちゃんと私も、って言えたのに…バカっ…

登校途中で逢えたら何て言おう…とかビクビクしながら登校したけど、逢う事はなくって…
そうだよね…アノ沖田君が、ちゃんと時間通りに学校に来る訳ないよね…
ホッとしたような、ガッカリしたような…
気が抜けて、私が机に突っ伏していると、頭にぺしっ、と何かが当たる。

「パチ恵〜、忘れモンだぜ?んまい棒。ついでにバナナもやるから喰いやがれ。」

おっ…沖田君っ…!?
がばっと慌てて起き上がると、いつもと同じニヤニヤ顔…

あれっ…?

私がじーっと見てると、バナナの皮を剥いて、ほい、と差し出す。

「ほら、俺が食べさせてやるから。」

何か企んでいるようなニヤニヤ笑い…
あれっ?いつもとおんなじ…?

「沖田く…んんっ」

一瞬、ハッとした目をして、にっこりと綺麗に微笑んだ後私の口にバナナを押し込んでくる。

「…ふぅ…んっ…んんんっ…」

「おー、色っぽーい。」

…ばくっ、ばくっ、ばくっ…
目の前に有ったバナナを一気に食べると、沖田君が嫌な顔をする。

「…色気ねェなぁ…」

「うるっさい!食べたんだから文句言うなっ!!」

「へーへー、残りは昼にでも喰いなせぇ。」

バナナを一房机の上に置いて、私の頭をぽんぽんと撫でる…あれ…?優しい…?

「えっ?コレ…貰って良いの?うわ、高そう…太くておっきい…有難う、お昼に皆で…って、何?」

「…天然ってのは怖いねぇ…そういうセリフは2人っきりの時に言いなせぇ…」

顔を赤くした沖田君が、はぁーっ、と溜息をつく。
何よ、失礼だなっ!
折角高そうなバナナだったからお礼言ったのに…あれっ…?バナナ…?

『ソーセージとかバナナとか…』

わっ…私大変な事言っちゃった!?
慌てて沖田君を振りかえると、ニヤーリと笑う顔と目が合った。
あわばばばばばば…どっ…どうしようっ…顔がっ…顔が燃える…

やっぱり意地悪だ…あんなヒト…あんなヒト…ううっ…やっぱり好きかも…
一瞬見せたにっこり笑顔にやられちゃったよっ…ばかぁ…