突然王子が私をぎゅっと抱きしめる。

「おっ…こりゃぁ…」

やっ…やーんっ!
突然だから手が入んなかったよっ!!押しやれないじゃん、これじゃっ…

「やぁーめぇーてぇーよぉぉぉぉぉっ!」

「なんでィ、ちょっとぐらい良いじゃねぇか。抱き心地良いんでィ、お前。」

王子が更にぎゅーっ、と抱きしめてくる。
やーっ!どっ…どきどきが凄くなるよぅっ…

「はっ…離してよぅっ!」

「んー、パチ恵補充中。」

見動きが出来ないくらい、ぎゅっ、ってされて、その感覚にくらくらする…
こういう状態になると良く分かる。
この人、細身に見えるけど実は鍛えられた筋肉が凄い…
さっきからずっと、離れようと頑張ってるのに、2本の腕はびくともしない。
そんなに力入れてるように見えないのに…悔しい…
キレイな制服からは石鹸の匂い…?何か良い匂いがするし…暖かい体温が気持ち良い…
思わず王子の背中に腕を回して、ぎゅうと抱きついてしまった…

「パッ…パチ恵…?」

焦った王子が私の顔を覗き込む。
あはっ…焦った顔、可愛い…
私がくすくすと笑うと、むぅ、と膨れた王子が私の眼鏡を取る。
なっ…小学生かよっ!?

「ちょっ…返してよっ!!」

「…ムードねぇなぁ…ま、いっか。」

くいっ、と顎を固定されて、王子の顔が、近づいてくる。

…って、ちょっ…えぇっ!?

「ちょっ!王子っ!何ふざけてんですかっ!もうっ、やめっ…て、手をはーなーせぇーっ!」

私が本気で暴れようとしても、全然動けない…
何!?王子ってレスリングか柔道やってるのっ!?

「ねぇっ!そんなおふざけ止めようよっ!…沖田君っ!」

「…やっと呼んだ。好きですぜ?パチ恵…」

いっ…今…何言った!?この人何て言ったのーっ!?
ビックリして動きが止まった隙に、私の唇に柔らかい何かが当たった…って、いやぁーっ!きっ…キスされたっ!?
やっ…や…恐いよぅっ…
ふるり、と震えると、王子がそっと離れて、ふわりと吐息がかかる。

「パチ恵のきっす、げっとー。」

クスリ、と笑って、又ちゅうと吸付かれる。
2回もされちゃったよ…もおお嫁に行けないよぅ…

でも…なんだかきもちいい…
いつもはいい加減な王子とは思えないくらい、優しい…
角度を変えて、何回もちゅうちゅうと吸われると…
どうしよう…もっと…ずっとしていたいかも…
私…王子の事、すきなのかな…?

「すげ、プリンみてぇ…」

「へっ?何…ってきゃぁぁぁぁぁぁっ!?」

優しいキスでぼーっとしている間に、私のセーラー服の前がたくし上げられて、むっ…胸をじっと見つめられてた…

「なっ…何してるのよっ!?」

「なんでィ、好きなヤツとはえっちしてーだろ?」

「えっ…えっ…ち…なんてしませんーっ!」

バチ―ン!!!





「お?総悟どうした?又チャイナさんと喧嘩でもしたのか?」

「…こりゃぁパチ恵の愛の証でさァ…」

「パチ恵ちゃんと喧嘩したのか?好きな子をいじめてばっかりだと嫌われるぞ?」

「ストーキングでボコられてる近藤さんに言われたくねぇや。」

「総ォ悟ォォォォォォ!やめてくんない?やめてくんない!?ボコられるなんて人聞きの悪い事言わないでくれない!?アレは妙さんの愛の証ですぅぅぅぅぅぅぅ!ちょっとSなだけですぅぅぅぅぅぅ!」

「一緒じゃねぇか…」

放課後、剣道部の練習をする沖田の頬には、見事な手形が張り付いていた…
それでも全く反省する事も無く、次はどうやって攻めてやろうかと頭を悩ませるドS王子だった。


続く