買い物を終えて、荷物を持ってもらって家に帰ると、玄関先にお兄ちゃん達が仁王立ちしていた…
うわぁ…怒ってるのかなぁ…?
そっと近付いて行ってお兄ちゃん達を見上げると、安心したような表情で…
「…ただいま…」
「…おかえり…」
「ちゃんと帰って来たな。」
「当たり前だよっ!だって、私の家はここだもんっ!」
家出…すると思ったのかな…?
そんな事はしないのに…
「…そうだな…パチ恵は…そんな子じゃ無い…よな…」
晋助お兄ちゃんがぽんぽんと私の頭を撫でてくれる。
その間に十四郎お兄ちゃんが沖田君から荷物を受け取ってる…喧嘩…しないよね…?
「ちゃんと送って来たな…」
「当たり前だろィ。大事な彼女なんですからねィ。」
「はぁ?認めてねぇって言ってんだろ?」
「そんなん関係無ェよ。大事なのは本人同士の気持ちだからねェ。そうだろィ、パチ恵?」
いきなり私に振らないでっ!
でも…
「うん…沖田君は大好きな彼氏だよ…?」
言ってて恥ずかしくなってきて、顔が赤くなってしまう。
でも、ほんとの気持ちだから!
「俺もパチ恵は大好きな彼女でィ。」
にっこりと笑ってそんな事言って、又明日、って走って行ってしまった。
すごく照れるけど…嬉しくて幸せ…!
にやにやと緩んでしまう顔を押さえて家に入ろうとすると、お兄ちゃん達が動かない。
買い物、早く冷蔵庫に入れたいのにな…
「…お兄ちゃん…?」
声を掛けて、ぽん、と肩を叩くとふらふらと動き出す。
…うちのお兄ちゃん達って、凄いシスコンなのかな…?
大事に…されてるんだよね…?
「今日はお刺身だよ?すぐに晩ご飯にするからね?」
声を掛けて家に入ると、晋助お兄ちゃんもふらふらと台所に来て一緒にご飯を作ってくれる。
「…晋助お兄ちゃん…?大丈夫…?」
「…おぅ…」
…大丈夫じゃ無い感じだけど…でも手はちゃんと動いてるよな…
そのままご飯を作って、家族一緒にご飯を食べる。
お兄ちゃん達はそのままふらふらと部屋に入って行ってしまったけど…明日剣道部の試合なのに大丈夫かな…?
ちょっと気になるけど、お弁当の下ごしらえしなくっちゃいけないし…寝る前に様子見ようっと。
全部終わらせて、お風呂にも入ってまずは十四郎お兄ちゃんの部屋の扉を叩く。
「十四郎お兄ちゃん…寝てる…?」
声を掛けると部屋の中からゴソゴソと音がして、お兄ちゃんが顔を出す。
「…パチ恵…どうした?」
十四郎お兄ちゃんは寝ていた風でも無くて…酷くゲッソリして元気が無い…
明日は試合なのに!
「あの…っ…!」
私を大事に思ってくれてるのは嬉しけど…でも…沖田君は大事な人で…
お兄ちゃん達の思うようにお別れなんて…出来ないよっ…
掛けられる言葉が見付からなくて俯いてしまうと、フッと笑った十四郎お兄ちゃんが私の頭を撫でる。
「どうした?怖い夢でも見たか?」
ゆっくりと撫でてくれる手が優しくて、泣きそうになる…
「十四郎お兄ちゃんっ!明日…頑張ってお弁当作って行くから…試合頑張ってね!」
「おう、楽しみにしてる。」
「…おやすみなさい…」
ちゅう、とほっぺたにおやすみなさいのキスをして扉を閉めると、扉の向こうから
「おやすみ」
と声がする。
そのまま晋助お兄ちゃんの部屋の前に行くと、すぅっと扉が開く。
「あ…晋助お兄ちゃん…」
「…パチ恵…俺は大丈夫…だから…オマエも早く寝ろ…」
にこり、と笑いかけてくれる表情は優しくて…
甘やかされてる、って分かってても拒めないよ…
「晋助お兄ちゃん…明日…頑張ってね!私、いっぱい応援するからっ!」
「…優勝してやる…期待しとけ…」
ニヤリと笑った顔は、ちょっと引きつってたけど自信ありげで…
私を安心させようとしてくれてるのかなぁ、と思うと頷くしか出来ない。
晋助お兄ちゃんにもおやすみのキスをして、自分の部屋に走って帰る。
明日は…お兄ちゃん達をいっぱい応援しよう。
…沖田君ももちろん応援するけど…
試合当日。
早起きして作ったお弁当を持って、皆の試合を応援に行った。
もちろん昨日決心したように、お兄ちゃん達をいっぱい応援したよ?
その甲斐有ってか、銀魂高校は団体優勝した。
お昼休みにお弁当を広げたら、お兄ちゃん達はガッカリしたけど、沖田君はすっごく喜んでくれた。
「パチ恵の愛がこもってやすね!」
って言ってぎゅうって抱きしめられたら、頑張って作った甲斐が有ったなぁ、って幸せに浸ってしまったよ!
いっつもなら、ここでお兄ちゃん達が邪魔してくる筈なのに…今日は何も無かったのが逆に怖い。
…何も言わないけど、すっごい目で見てるんだもん…
その後の個人戦は、お兄ちゃん達も沖田君も絶好調で。
3位までを独占してしまいました。
凄い事だよね!
今晩も、晩ご飯はお祝いのご馳走を作らなくっちゃ!
だから、今日だけは、お兄ちゃん達と買い物に行こうと思いました。
続く
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