03・主婦感覚


今日も今日とて買い物中。
何?僕って買い物星から来た買い物星人!?

「よぉ、新八。奇遇ですねぃ。」

…又来たよ、コノ人も…
ストーカー2号ですか?2号なんですか?

「…沖田さん…おやつは買いませんよ?ってーか、仕事はどうした。」

僕の冷たい目に一瞬たじろいだ沖田さんだが、すぐに立ち直る。

「…休憩中。」

「うそつけっ!サボリか!?又今日もサボリか!?」

突っ込む僕の頭をポンポン、と撫でて、ニコリと笑う。
うっ…コノ顔に僕が弱いのしってるな、絶対…

「そんな事より、買い物の途中だろィ?俺が選んでやりまさぁ。」

沖田さんが僕のカゴを奪ってスタスタと歩き出す。
…さりげなくそんな事されてもさ…惚れ直すじゃないかっ…

「…後は、レタスと卵を買う予定ですけど……」

「そうですかぃ。」

迷わずスタスタと売り場に歩き出す。
毎回毎回何処からか現れて一緒に買い物してるから、沖田さんも売り場、すっかり覚えちゃってるし。

特売の卵とレタスをポイポイとカゴに入れて、こちらを振り返って僕を促す。

「ちょぉ―っと待ったぁ――――!」

僕のメガネがキラリと光る。
沖田さんがカゴに入れた卵とレタスを取り出し、脱兎の如く売り場に戻る。
まずは卵だ。同じパックだからと言って、中身まで同じ大きさじゃぁないんだよっ!出来るだけ大きい卵ばかりが入ってるパックを一瞬で探し当てる。速攻そのパックとトレードだっ!!
そしてレタスも。売り場にあるレタス全部を持ってみて、なるたけ巻きが多くて重い物を探す。

「ふぅ…全く、これだから男の人はダメなんですよっ!同じ値段なら、出来るだけ多いものを吟味しなきゃ勿体無いですよっ!!」

 はっ…僕も男だよ………

「…新八ィ…アンタ、良い奥さんになれますぜぃ…」

確実にドン引いた沖田さんを遠くに見ながら、自分に染み付いた主婦感覚に悲しくなった志村新八(16歳・男子。)だった。