12・朝も昼も夜も


ここの所、何でか知らねぇがよく会ってるヤツが居る。

仕事で見廻りやってても、サボって公園で昼寝してても、サボって駄菓子屋で昼寝してても、はては夢の中までも、そいつぁズカズカと割り込んできやがる。

…今までは、夢といやぁ土方さんを殺ってる夢ぐらいしか見ねぇ俺からすると、そいつが出て来る夢なんざ有り得ねぇ。そんなほのぼのした、心休まる夢なんざ、俺ァ生まれてこの方見たこたァねぇ。あんな、アイツがずっとにこにこにこにこ笑ってるだけの夢なんざ…俺が見るわけねぇ。だからきっとアイツが俺の夢に割り込んで来てやがんでぃ。

いつもバッタリ会ったってそんなにいんぱくとなんざねぇヤツなのに…あぁ、でも…あの柔らかい笑顔は癒されるねぇ、そういえば。にこにこ笑いやがって、何がそんなに嬉しいんだか…だいたい、俺にあんな笑顔向けてくる奴ァ、近藤さんか姉上ぐらいしか居ねぇっての。
あいつァ…一体何がしたいんでぃ。

…俺以外にもあんな顔してんのかねぇ…?山崎や土方さんにも…?

何か、むかっ腹たってきやがった。…何でだ…?
アイツがあんな顔見せんのは俺だけで良いんでさぁ。
旦那やチャイナにだって見せるこたァねぇんでさぁ、もったいねぇ。

アイツの事考えているうちに、本物のアイツに会いたくなってきやがった…

この俺にこんな事思わせるたァ、何モンでぃ、アイツぁ。

寝ても醒めてもソイツの事考えてるなんてぇのは、恋仲でもない限りおかしかねぇかぃ?
俺は考えちまってるけどねぇ、朝も昼も夜も。

…もしかして、俺ァアイツに恋しちまってんで?

そう想いだすと止まらねぇ。すぐにアイツに会わねぇと、もぅ、おさまらねぇ。
俺ァちょいと駆け足で、新八に会いに万事屋へ向かった。


END