君の為の体操



コンコン…

もうすっかり寝るだけの時間だっていうのに、突然部屋の窓がノックされる。
…え…っと…
何…?

「おーい、パチ恵ー開けろィ。」

「そーちゃんっ!?」

慌ててガラリと窓を開けると、屋根の上に乗って、よう!と手を上げる幼馴染。

「どうしたの?こんな時間に…」

よいしょ、と呟いて窓を乗り越えてくるから、窓の前から避けようとするとぎゅうっと抱きこまれる。
…うわぁ…すっかり冷たくなってる…外、寒かったのかな…?

「んー…テレビ観てたらパチ恵に逢いたくなった…」

「ふ…?」

うわぁ!
うわぁ!!
恋愛ドラマとか観てたのかな?
そーちゃんっぽくないけど…でも嬉しい!

私からもぎゅう、と抱きつくと、ちゃんと抱き返してくれる。
嬉しいなぁ…

「…うーん…」

何か唸って体を離されてしまう。
…どうしたんだろう…?

首を傾げていると、ぐるりと後ろを向かされる。
何が…

「ひゃぁっ!?」

後ろからグイッとむっ…胸を掴まれてユサユサと揺すられる…

「そっ…そーちゃん何…っ…?」

「おー、おっぱいのたいそーだってテレビで言ってたんでィ。これでふわふわだぜィ。」

「たっ…体操…?」

「そうでィ。今でも十分だけどねィ…ふわふわ、ってのがどんなんか触ってみたかったんでさァ。」

角度を変えて、何回も揺すられて…こんなので体操になってるのかなぁ…?
意地悪してるだけなんじゃないのかなぁ…?

「そーちゃん…何か変わった…?」

「うーん…いちんちじゃ変わんねェだろ。これから毎日俺がたいそーしてやっから楽しみにしてろィ。肩こりとかも治るって言ってた。」

「まっ…毎日…?」

「毎日。」

…気が付いたら、にやりと笑った顔に見下ろされて…る…?
背中はふかふかな感触…え…?

「成果も毎日確認してやっから、安心しろィ。」

「安心じゃないもん!!!!」


END