冬の嵐



短かった冬休みも終わり、今日から新学期です。
今までは何でか新学期が待ち遠しかったんですけど、今年はもうちょっと休みでも良かったのになぁ、とか思ったりしてます。
…ほとんど毎日総悟君と一緒に居れたからかなぁ…なんて…
そう思うと、僕っていつから総悟君の事好きだったのかなぁ…とか思っちゃうよ。
1年の頃から…待ち遠しかったよなぁ…僕…

僕がちょっと赤くなりながら学校までの道を早足で歩いていると、後ろからぽん、と肩を叩かれる。

「おぅ、おはよう新八ィ…待ち合わせの場所通り過ぎて何処行くんでィ。」

総悟君が拗ねたような顔で僕を睨む。
へっ?僕………
あぁっ!?ぼんやり歩いてたら通り過ぎてた!!

「おっ…おはよう総悟君っ!ごめん…ちょっとぼーっとしてて…」

「何でィ、悩み事かィ?俺に話してみなせぇ!!」

「えっ!?なっ…何でもないよっ!ちょっと考え事してただけでっ…!」

言え無いよっ!!僕がいつから総悟君の事好きだったか考えてたなんてっ!!
そんな恥ずかしいぃぃぃぃぃぃっ!!

「俺ァそんなに頼りねェですかィ?」

総悟君がしゅんとして下を向く。

「そっ…そんな事無いよっ!ホントにちょっと考え事してただけでっ!…あっ!今日のお弁当総悟君の好きなの鶏の唐揚と、卵焼きと肉じゃが入れてきたよ?あ、後、こないだ美味しいって言ってくれた鶏肉と大根とブロッコリーのサラダも入れてきたよ?」

「マジですかィ?」

俯いてた総悟君がパッと顔を上げて、にぱっと笑って僕の手を握る。
あっ!又っ!!
もぅ…人前でもすぐ手を繋ぎたがるんだから…僕は恥ずかしいから嫌だって言ってるのに…
でも…暖かいから、少しぐらいなら…良いか…

「…ちょっとだけだからね…?」

僕が言うと、何の事だかすぐ分かってくれた総悟君がぷぅ、と膨れる。

「あー、寒ィや…新八がこんなに近くに居るのに心は遠いねィ…」

「そんなっ…」

「良いんでさぁ、俺の方が100倍新八の事好きだからしゃぁねぇや。」

…僕の方が100倍好きだと思うけどなっ…

僕も総悟君の手をぎゅっと握ると、満面の笑顔で僕を覗き込む。
えへへっ…

手を繋いだまま学校の近くまで来ると、そろそろ人が多くなってくる。
…なんか…この手を離したくないな…でも…
僕の歩くスピードが遅くなってくると、総悟君がぱっと僕の手を離す。

あっ…

「もうそろそろ恥ずかしいんだろィ?新八ィ」

「あのっ…」

「ゆっくりいきやしょうぜ?俺だって我慢ぐれぇ出来るんだぜ?」

総悟君がにっこり笑って、僕の頭をぽんぽんと叩く。

「違う…事も無いけど…もう少し手を繋いでたくて…歩くスピード、遅くなっちゃった…」

僕がそう言うと、総悟君が真っ赤になって手で口を押さえる。

「…新八ィ…オメェ俺を殺す気ですかィ…」

「えっ!?そっ…そんなっ!総悟君死んじゃヤダっ!!」

総悟君の袖を掴んで見上げると、総悟君の顔が更に赤くなる。

「大好きでさぁ、新八ィ…」

「ぼっ…僕も大好きです…」

僕らがお互いの目に映る自分を見ていると、横から殺気が飛んでくる。
…何っ!?

「ハイハイ、どくアルよ〜、バカップル〜」

僕と総悟君の間を押し分けて、神楽ちゃんがゆっくり歩いて行く。

あぁぁぁぁ!僕ってば道の真ん中でなんて事をっ!?

神楽ちゃんの後を、土方君と近藤君がニヤニヤ笑いながら通って行く。
その後を泣きながら山崎君が…ってあぁぁぁぁぁっ!皆居たのっ!?

更にその後を坂田先生がスクーターで通って行く…
…はっ…早く教室に入ろっと…

「…総悟君…教室行こっ…?」

「…そうですねィ…」

何だかちょっと距離をとって、2人並んで教室に向かった。

…人前で、はっ…恥ずかしい事は…しないように気をつけようっと…

僕らが教室に入った途端、教室内がザワッ…とざわめく。
なっ…何が…?