ひらり、ひらりと桜舞い散る中、僕は運命の扉を開けた。


桜舞い散るその時に…


自由な校風の元、誰もがのびのびと学ぶ事が出来るというキャッチフレーズに惹かれてなんとか入学出来た銀魂高校――――

僕、志村新八も今日からこの学校の生徒になります!

勉強にはついていけるかな?友達はいっぱい出来るかな?
もう高校生なんだし、かっ…彼女なんかも出来ちゃったりして………
これから3年間の期待をいっぱい胸に抱えながら、校門をくぐる。

………うわっ………

敷地内には、満開の桜がこれでもかという程並び、僕の明るい未来を祝福しているようだ。

少し立ち止まって桜を見上げる。
降り注ぐ花弁に吸い込まれるかと思った……

僕がぼんやりと桜を見ていると、突然一陣の風が巻き起こる。
風と花弁を避けるのに目線を下げると、1本前の桜の前にも僕と同じように、桜を見上げる男子生徒が居た。

うわっ…何だ、アノ人…

その人は、僕と同じ制服を着ているはずなのに、まるで違う服を着ているように綺麗に見える。
栗色の髪を風になびかせ、抜ける様な白い肌が桜のピンクと相まって、まるで桜の妖精の様だ。

桜の花弁をいとおしそうに見つめ、微笑んでいる…その横顔に僕は目を奪われた…

僕が凝視していたからか、ふと、その人が視線を僕に移し、照れたように微笑む。

なっ………どっ…ドキ、とか言ってる場合じゃないぞ!僕!!アノ人は男の人でしょうが!!!!!

顔に集まる熱を誤魔化しつつ、足早にその人の横を抜け玄関に向かう。
その後はもうグダグダで、折角の入学式も全く記憶に残ってない。
…ふと気を抜くと、あの時僕に向けられたアノ人の笑顔が浮かんできて、心臓が煩くてたまらない。

どうしたんだろう、僕は………桜と一緒に見たアノ人は綺麗だったからなぁ…
僕もあんな人になってみたいよ…

きっと憧れだよね、この気持ちは。